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中日漢字字形の比較

时间:2023-04-02 理论教育 版权反馈
【摘要】:第一章 中日漢字の 字形比較研究1. はじめに日本語教育が盛んに行われる現在では、日本語と中国語の漢字の字形の問題も次第に重要視されつつある。そこで、中日同形語の比較研究に入る前に、まず日本語教育における中日漢字字形についての問題を述べたい。2.2 中日漢字字形に関する研究論文近年来、中日字形の違いを比較した研究論文も増えている。

第一章 中日漢字の 字形比較研究

1. はじめに

日本語教育が盛んに行われる現在では、日本語と中国語の漢字の字形の問題も次第に重要視されつつある。字形の問題は言葉の意味の理解にあまり影響がないと思う人もいるが、決してそうではない。文字を正確に書くことは互いに尊重する気持ちの表れだけでなく、書く人の人柄をうかがわせることもできる。中日漢字字形の異同は非常に複雑な問題である。中国の日本語教育の現場では重んじる学校もあれば、重んじない学校もある。日本語教育の教師によって、中日字形の違いに対する態度も違う。日本語の字形について系統的に習ったことがない日本語教師が少なくないのも事実である。しかし、日本語教育に携わるものにとって、日本語の漢字の書き方を身に付けるのは基本中の基本であると思う。そこで、中日同形語の比較研究に入る前に、まず日本語教育における中日漢字字形についての問題を述べたい。

2. 先行研究

2.1 教科書の字形に関する記述

中国の日本語教科書で中日漢字の問題に触れているのは非常に少ない。日本語を専攻する学生がよく使う教科書は《新编日语》(1)である。《新编日语》第1冊で日本語の字形について次のように述べている(2)

现代日语中的汉字字形和我国现在通行的汉子字形相比,有的完全相同,有的不完全相同,此外,某些是模仿汉字的构字法(主要会意)创造的,日语叫国字。

そして、中国語の漢字と比較しながら、日本語の漢字を次の四種類に分けた。

(1)完全相同的 (2)大同小异的 (3)差异很大的 (4)模仿

创造的

崔崟(2003)が『日本語通論』で日本語の「漢字の書き方」について次のように述べている(3)

構造的には、日本語漢字は中国の漢字と同じように「六書」——象形、指事、会意、形成(ママ)、転注、仮借からなっている。漢字の書き方は体系となっていて、画数と筆順は厳しく決められているのである。漢字の書き方は欧米人にとってもっとも厄介な問題のみならず、漢字で育った我々中国人にとっても簡単なものではない。

そして、中国語の現在の漢字と比較しながら、次の3種類に分類(4)した。

1.中国では簡体字、日本では繁体字が使用されている。

機/机 習/习 義/义 愛/爱 為/为 園/园

2.中日両国の簡体字の字体がそれぞれ違う。

伝/传 図/图 訳/译 栄/荣 桜/樱 残/残

3.日本語において中国語にはない和製漢字が多く用いられている。

込 峠 畑 働 丼 偲 辻 辷 凪 俤 躾 榊 噺

崔(2003)の分類と《新编日语》の分類は、簡体字の取り扱いに特徴がある。しかし、和製漢字とされる「丼」と「偲」は、中国にあった漢字(5)なので、明らかに和製漢字ではない。

中国で日本語の教科書、日本語語彙論などの日本語に関する文献(6)が多く出版されているが、日本語の漢字の字形、書き方などを少し詳しく取り上げるものもあるが、ごく簡単な紹介にとどまっていたり、触れていなかったりするものが多い。中国の日本語教育界では漢字の書き方の異同があまり重要視されていないとは言い切れないが、教科書に紹介されなくては、学生が日本語学習で正しい書き方などを習得するのは困難であろう。

2.2 中日漢字字形に関する研究論文

近年来、中日字形の違いを比較した研究論文も増えている。ここで次の三つの論文を取り上げたい。

2.2.1 林玉恵の論文

林玉恵(2002)(7)は、台湾の日本語学習者の字形の誤用と、日本語常用漢字と台湾漢字の差異とを分析し、分類をした。しかし、論文は主に次のような問題点がある。

漢字圏での日本語の漢字指導、同形語の比率など、以下に述べる。

まず、「漢字圏では日本語教育において漢字指導が軽視されている(8)」と言い切っている。漢字圏といえば、中国大陸、台湾、香港、マカオ、日本だけでなく、韓国、北朝鮮、ベトナム、マレーシア、シンガポールなどをも含むべきである。漢字圏は非常に広いので、それらの国での日本語教育における漢字指導の状況をよく把握してからでないと、安易に結論を出すべきではない。また、「漢字指導」は多岐にわたっている。書き方の指導はたしかに軽視されがちであるが、漢字の発音、意味などが軽視されているとは思えない。

林(2002)は「同形語の比率(9)」について、「さて、一体同形語はどのくらいあるのか。先行研究によると、中国語語彙における同形語の比率はかなり高い。(中略)以上の資料の調査結果によれば、同形語は大体40%から57%の間と見ることができるであろう。」と述べている。これについて荒川勸(1983)が、すでに「日中同形語」の要旨(10)の中で「現代中国語の常用語のうち約半分は形の上で日本語の漢語と重なる。」と同形語の範囲を明示している。また曽根博隆(1988)の『日中同形語に関する基礎的考察』において、「現代漢語頻率詞典」の「頻率最高的前8000個詞詞表」を対象に、その中から3,395語の同形語を抽出した(11)ので、同形語の範囲を「頻率最高的前8000個詞詞表」に限った。さらに橘純信(1994)の中日同形語(12)は、「漢語水平詞匯大綱」の8,822語(連語、成語など含む)を対象にした。このように、常用語、現代漢語の頻度の高い語、外国人に対する中国語教育の語彙を中日同形語の範囲として比率が算出されたのである。範囲のない「同形語の比率」については疑問が残るであろう。

もちろんそれぞれ研究するとき依拠していた『中国語常用語辞典』(1975)『现代汉语频率词典』(1986)『漢語水平詞匯大綱』(1992)などの辞書や書籍は古いとは言えないが、中国の言語事情もずいぶん変わったのも事実である。

林(2002)は、また「字体の差異を無視することは同時に、意味の差異も無視される恐れがある。(13)」と言っているが、根拠はどこにあるのか明示していない。日本の漢字と中国の漢字の間に、字体の差が存在している。印刷上の問題や手書きによる個人差によって、筆画、画数、筆順に多少の差異があっても、文字全体の認識に差し支えないと考えられるが、具体的に字体の差異と意味の差異の認知にどのような関係があるのか、日本語学習者にアンケート調査をし、データを分析したうえで、結論を出すべきである(14)

2.2.2  万玲华の論文

万玲华(2004)(15)は《中日同字词比较研究》の第二章“中日同字词的用字”で中日常用漢字を詳しく比較分析し、分類した。この論文は主に次のような問題がある。

統計のデータについて、“日语常用汉字中跟汉语现行汉字字形不同的有762个”(16)をまとめているが、付表2(17)に並べられた漢字は、合計772字になった。

同表によると、“一、采用不同的正俗字的”“二、简化而造成形体不同”“三、笔画笔形的差异”(18)という三種類に分類した。“简化而造成形体不同”をさらに“中简而日不简的”“日简中不简的”“双方都作了简化,但结果不同的”(19)の三種類に下位分類した。しかし、例を挙げると、“挂-掛”が“一、采用不同的正俗字的”と“二、简化而造成形体不同”の“中简而日不简的”に見られて、分類が統一的ではないようである。また、“二、简化而造成形体不同”の“中简而日不简的”に“频-頻”を挙げ、“双方都作了简化,但结果不同的”に“頻频頻”を挙げているので、これは明らかに矛盾しているようである。

万(2004)が挙げた漢字には間違いが多く見られる。日本語の常用漢字として“矫瀉薰勳曜虞濯”を挙げているが、この字形について現在の日本語の用字と違っている。日本語では“矯潟薫勲曜虞濯”となる。“矫”は中国語の簡体字で、“瀉薰勳”は繁体字である。付表2に中国語で使われている漢字として“綫”を挙げたが、“綫”は明らかに繁体字であり、“线”と簡略化された。現在、日本語で使われている漢字として、“陞”“頻”“騷”“歎”“眾”“寬”などを挙げているが、明らかに現在の日本語の用字“昇”“頻”“騒”“嘆”衆”“寛”と異なる。“日简中不简的”の例にある“辩”は“辯”から簡略化された字である。“观観”の繁体字は“覌”ではなく、“觀”と書くべきである。“双方都作了简化,但结果不同的”の例の漢字を「繁体字-中国語の漢字-日本語の漢字」という順番で並べるべきなのに、“權権权”“讓譲让”“榮栄荣”“縣県县”などのように、逆になってしまったものもある。

以上のように、この論文では大量の誤字が確認できたばかりでなく、用例も適切ではない(20)し、厳密さに欠けている。

2.2.3 馬鳳如の論文

馬鳳如(2009)(21)は万(2004)より細かく、中日の常用漢字の字形を比較して、分類している一方で、「ただ、字義を理解する上では、ほとんど問題はないはずである(22)」と指摘した。馬(2009)の論文は、主に次のような問題がある。

馬(2009)の分類は、活字体に注意して細かすぎる点がある。日本語常用漢字の字体は明朝体活字の一種であり、中国語で使う漢字の明朝体活字とデザイン上の違いが見られるが、字体の違いとは言えない。また印刷上と手書き上の表現の差について考慮する場合、細かすぎた分類に従って日本の漢字を教えると、日本語に興味を失う学生がたくさん出てくる恐れがある。

分類した中国漢字と違っている日本語の字形は、《康煕字典》などに準じたものが多い(23)ので、「中日字形の違い」と言えるかどうかも疑問である。また、参考文献に『宋元以来俗字譜』を挙げたが、本文で同書を『宋代以来の俗字譜』と表記した(24)のは納得がいかない。「歩/步」という字は「日本で簡略化され、中国で簡略化されていない漢字」にまとめられているが、日本語の「歩」がもともとの字より画数が一つ増えたので、簡略化されたよりむしろ複雑化された。

3. 中日漢字字形の比較

『常用漢字表』の1945字について、中国語の現在の漢字と字形が全く同じであるものと多少の違いがあるものに大別できる。

3.1 字形が同じである漢字

万(2004)によると、「日语常用汉字中跟汉语现行汉字字形不同的有762个」がある。実際、表をもとに数えると「772字」になった。字形が同じである漢字の数は計算によって1175に上る。馬(2009)によると、「常用漢字と中国漢字の比較表」に挙げた数は1054である。以上から、いずれも「字形が同じである漢字」が「字形が違う漢字」よりずっと多い。もちろん、中日漢字の異同を判断する基準を設けるのはなかなか難しく、筆画、画数など細かいところの差異が字形にどのぐらい影響するか判断しにくい。

筆者は、日中漢字字形をみていくため、『常用漢字表』についていた「字体についての解説の第1·第2」(25)に従いたい。字形が同じであるものを「繁体字から簡略化されたもの」と「字形が昔と変わらないもの」に分類してみた。

簡略化されたものに昔の俗字がたくさん含まれている。その中で《宋元以来俗字谱》に確認できた(26)のは次のとおりである。

个 条 励 独 寿 嘱 寝 宝 昼 会 恋 担 携 灯

点 当 尽 窃 声 胆 与 旧 号 虫 蛮 花 若 英

草 苦 苗 茶 莫 苑 荒 万 落 蒙 猪 湾 猫 来

洒 随 体 医 吊 争 元(原) 装 乱 群 粘 台

現在両国で使われている同形字の「学」と「国」は日本語の俗字であった。詳しくは紙幅の関係で省略するが、中国の《字彙》《康煕字典》《古俗字略》《宋元以来俗字谱》などに「学」と「国」が確認できなかった。この二つの文字はともに「倭字」として中根元珪の『異體字辨』(27)の「好異門」に収録されている。

3.2 字形に違いがある漢字

3.2.1 日本語の字形は変化していないが、中国語の字形が変化した

字形の変化は普通簡略化を指す。画数の多い漢字に変わる場合もある。たとえば、「搾」の画数が「榨」より少ないので、繁体字と言えるか疑問である。文字の部首が変わって、この場合は簡略化というより変化と表現したほうが厳密であろう。以下の日本語についても同様なことが言える。

以下は、「日本語—中国語」の順番で並べていく。

印—印 今—今 令—令 冷—冷 吟—吟 念—念 零—零

低—低 底—底 抵—抵 融—融 隔—隔 外—外 恋—恋

偏—偏 遍—遍 肩—肩 雇—雇 骨—骨 滑—滑 反—反

坂—坂 板—板 返—返 版—版 阪—阪 角—角 虐—虐

具—具 査—查 直—直 植—植 殖—殖 真—真 値—值

置—置 天—天 蚕—蚕 舟—舟 航—航 般—般 才—才

春—春 取—取 趣—趣 空—空 究—究 探—探 控—控

深—深 俊—俊 酸—酸 唆—唆 商—商 甚—甚 堪—堪

勘—勘 非—非 俳—俳 排—排 悲—悲 罪—罪 扉—扉

称—称 巨—巨 拒—拒 距—距 携—携 催—催 集—集

推—推 准—准 鬼—鬼 魔—魔 魅—魅 魂—魂 差—差

以—以 似—似 芽—芽 既—既 敢—敢 叫—叫 汚—污

象—象 像—像 宮—宫 船—船 別—别

飲—饮 餓—饿 館—馆 飢—饥 飼—饲 門—门 閥—阀

問—问 聞—闻 閉—闭 閲—阅 閣—阁 間—间 閑—闲

簡—简 潤—润 煩—烦 頒—颁 預—预 領—领 鋭—锐

鏡—镜 銀—银 銅—铜 鈍—钝 錯—错 銃—铳 錠—锭

針—针 錘—锤 銑—铣 鍛—锻 釣—钓 鉄—铁 鎖—锁

鉢—钵 銘—铭 鈴—铃 維—维 緩—缓 紀—纪 級—级

給—给 繰—缲 結—结 絹—绢 紅—红 絞—绞 紺—绀

紙—纸 終—终 縮—缩 純—纯 緒—绪 紹—绍 飾—饰

紳—绅 繕—缮 組—组 締—缔 統—统 納—纳 糾—纠

紛—纷 縛—缚 縫—缝 紡—纺 綿—绵 紋—纹 約—约

絡—络 編—编 貨—货 賀—贺 貝—贝 遺—遗 員—员

額—额 貫—贯 慣—惯 敗—败 賠—賠 費—费 貧—贫

貿—贸 賄—贿 負—负 賦—赋 噴—喷 憤—愤 貴—贵

貢—贡 債—债 財—财 販—贩 資—资 賜—赐 賞—赏

責—责 則—则 側—侧 測—测 賊—贼 損—损 貸—贷

賃—赁 漬—渍 貞—贞 偵—侦 頑—顽 顔—颜 願—愿

傾—倾 項—项 順—顺 題—题 頂—顶 課—课 該—该

記—记 詰—诘 許—许 訓—训 計—计 謙—谦 語—语

誤—误 獄—狱 詐—诈 詞—词 試—试 詩—诗 謝—谢

諸—诸 訟—讼 証—证 詔—诏 詳—详 診—诊 誠—诚

請—请 設—设 説—说 諾—诺 誕—诞 談—谈 調—调

討—讨 訂—订 諭—谕 謀—谋 訪—访 評—评 譜—谱

誘—诱 話—话 罰—罚 況—况 決—决 減—减 涼—凉

協—协 脅—胁 規—规 見—见 現—现 視—视 車—车

較—较 軌—轨 揮—挥 輝—辉 軍—军 軒—轩 庫—库

載—载 暫—暂 軸—轴 漸—渐 軟—软 連—连 輸—输

輩—辈 魚—鱼 漁—渔 鯨—鲸 鮮—鲜 馬—马 騎—骑

駐—驻 騰—腾 篤—笃 鳥—鸟 島—岛 鳴—鸣 幾—几

機—机 長—长 帳—帐 張—张 脹—胀 師—师 帥—帅

橋—桥 矯—矫 東—东 凍—冻 棟—栋 陳—陈 墳—坟

愛—爱 為—为 偽—伪 異—异 陰—阴 韻—韵 運—运

衛—卫 遠—远 義—义 儀—仪 議—议 擬—拟 園—园

億—亿 憶—忆 華—华 織—织 識—识 綱—纲 剛—刚

鋼—钢 偉—伟 違—违 緯—纬 溝—沟 構—构 購—购

講—讲 進—进 賢—贤 償—偿 顧—顾 論—论 塊—块

窮—穷 驚—惊 極—极 備—备 筆—笔 補—补 風—风

買—买 書—书 幣—币 陣—阵 陸—陆 階—阶 輪—轮

確—确 嚇—吓 還—还 環—环 醜—丑 養—养 療—疗

傑—杰 積—积 達—达 衆—众 罷—罴 倫—伦 論—论

擁—拥 羅—罗 膚—肤 報—报 脈—脉 猶—犹 優—优

網—网 郵—邮 糧—粮 窮—穷 災—灾 煙—烟 無—无

護—护 搾—榨 遊—游 範—范 節—节 夢—梦 憂—忧

詠—咏

業—业 場—场 腸—肠 湯—汤 揚—扬 寧—宁 懸—悬

墾—垦 懇—恳 時—时 質—质 係—系 啓—启 際—际

繭—茧 掃—扫 孫—孙 尋—寻 濁—浊 奪—夺 築—筑

貯—贮 謄—誊 製—制 潟—舄 喚—唤 換—换 標—标

婦—妇 復—复 奮—奋 務—务 霧—雾 虜—虏 類—类

塚—冢 塗—涂 曇—昙 誇—夸 競—竞 採—采 倣—仿

癒—愈 陽—阳 慮—虑

親—亲 殺—杀 畝—亩 習—习 産—产 昇—升 飛—飞

電—电 滅—灭 開—开 関—关 術—术 雲—云 類—类

隷—隶 麗—丽 離—离

3.2.2 日本語で変化したが、中国語で変化していない

仮—假 灰—灰 巣—巢 缶—罐 欠—缺 弁—瓣 弁—辨

瓦—瓦 瓶—瓶 弊—弊 毎—每 海—海 梅—梅 悔—悔

侮—侮 敏—敏 繁—繁 毒—毒 免—免 勉—勉 僧—僧

黒—黑 墨—墨 憎—憎 増—增 黙—默 挿—插 捜—搜

曽—曾 沿—沿 包—包 抱—抱 泡—泡 胞—胞 港—港

巻—卷 圏—圈 唐—唐 糖—糖 屯—屯 瞬—瞬 邪—邪

舞—舞 鼻—鼻 敷—敷 炭—炭 雄—雄 曜—曜 稲—稻

肺—肺 逸—逸 器—器 臭—臭 突—突 歩—步 渉—涉

頻—频 害—害 割—割 所—所

3.2.3 中国語の漢字と日本語の常用漢字が両方とも変化した

以下「繁体字—日本語—中国語」の順番で並べていく。

惡—悪—恶 壓—圧—压 圍—囲—围 隱—隠—隐

榮—栄—荣 營—営—营 謁—謁—谒 圓—円—圆

應—応—应  價—価—价  謹—謹—谨 響—響—响

犧—犠—牺 漢—漢—汉  轄—轄—辖 畫—画—画

莖—茎—茎 廣—広—广 絲—糸—丝 兒—児—儿

從—従—从 將—将—将 殘—残—残  淺—浅—浅

踐—践—践 錢—銭—钱 棧—桟—栈 纖—繊—纤

禪—禅—禅 莊—荘—庄 層—層—层 贈—贈—赠

臟—臓—脏  帶—帯—带 滯—滞—滞 擇—択—择

嘆—嘆—叹 鑄—鋳—铸 廳—庁—厅 轉—転—转

傳—伝—传 難—難—难  邊—辺—边 販—販—贩

飯—飯—饭 砲—砲—炮 飽—飽—饱 豐—豊—丰

曆—暦—历 亞—亜—亚 驛—駅—驿 鹽—塩—盐

緣—縁—缘 繪—絵—绘  櫻—桜—樱 穩—穏—稳

壞—壊—坏 懷—懐—怀 擴—拡—扩 殼—殻—壳

樂—楽—乐 勸—勧—劝 謠—謡—谣  搖—揺—摇

瀧—滝—泷 歡—歓—欢 觀—観—观  氣—気—气

歸—帰—归 據—拠—据 曉—暁—晓 驅—駆—驱

經—経—经  輕—軽—轻 螢—蛍—萤 繼—継—继

擊—撃—击 縣—県—县 儉—倹—俭 險—険—险

檢—検—检 驗—験—验 權—権—权 顯—顕—显

嚴—厳—严 戶—戸—户  吳—呉—吴 娛—娯—娱

濟—済—济 齊—斉—齐 劑—剤—剂 齋—斎—斋

歲—歳—岁 雜—雑—杂 齒—歯—齿  肅—粛—肃

實—実—实 釋—釈—释 獸—獣—兽 縱—縦—纵

燒—焼—烧 獎—奨—奖 賸—剰—剩 曡—畳—叠

攝—摂—摄  壘—塁—垒 繩—縄—绳 孃—嬢—娘

讓—譲—让 釀—醸—酿 圖—図—图 瀨—瀬—濑

絕—絶—绝 專—専—专  騷—騒—骚 續—続—续

對—対—对 澤—沢—泽 譯—訳—译 遲—遅—迟

單—単—单 彈—弾—弹 戰—戦—战 遞—逓—递

貳—弐—贰 傚—効—效 賣—売—卖  讀—読—读

惱—悩—恼 腦—脳—脑 廢—廃—废 變—変—变

滿—満—满 兩—両—两 樣—様—样 賴—頼—赖

覽—覧—览  獵—猟—猎 綠—緑—绿 錄—録—录

淚—涙—泪 靈—霊—灵 齡—齢—龄 歷—歴—历

勞—労—劳 淨—浄—净  谿—渓—溪 辦—弁—办

辮—弁—辫 辯—弁—辩 賓—賓—宾 濱—浜—滨

練—練—练 層—層—层 贈—贈—赠 欄—欄—栏

選—選—选 遷—遷—迁 頻—頻—频  躍—躍—跃

藝—芸—艺  拔—抜—拔 戾—戻—戾 髮—髪—发

發—発—发

中国語で簡略化されて、日本語では字形にほとんど変化がないが、画数の増えたものがある。例えば、《康煕字典》に繁体字「棄」と俗字「弃」が両方収録されている。中国の簡体字は俗字を採用したのであろう。日本語の「棄」は一見繁体字の「棄」と変わらないようだが、日本語の「棄」の画数は13で、《康煕字典》の「棄」より一つ多くなった。筆画を分解したのだろう。したがって、書き方が複雑になったと言うより、書きやすくなったと言える。

そのほかに日本語の「臣」を含む漢字、「堅賢緊濫臨監艦」などの画数が全部一つ増えた。

4. 中日漢字の複雑な問題

4.1 中国語で簡略化されたり一つに統合されたりしたが、日本語では二つ以上の表記が併用されている

「龍」は繁体字で、中国語ではもう“龙”に簡略化された。「龍」を含んだ繁体字「寵」「瓏」「襲」「籠」「瀧」なども「宠」「珑」「袭」「笼」「泷」と簡略化された。日本語では繁体字の「龍」と俗字の「竜」は両方使用されている。そして、繁体字の「寵」「瓏」「襲」はそのまま使用されているが、「籠」と「瀧」は「篭」「滝」に簡略化されている。

そのほかに次のような例がある。

中国大陸の多くの日本語学習者がこれらの簡体字に慣れてきたので、対応する複数の日本語の漢字の書き方、意味用法を習得するとき、かえって苦労をすることが想像に難くない。とくに、“散发”と「散発·散髪」のように、中国語の簡体字の一つの熟語が日本語の複数の熟語に対応する可能性があるので、注意しなければならない。

4.2 中国語では二つの漢字を併用して使い分けている

“砂”“沙”は日本語では「砂」に統合されたが、中国語では相通じるところもあるが、多くの場合使い分けられている。日本語では「歧」は使われていないが、「岐」だけ使われている。中国語では“歧”と“岐”は昔置き換えられたが、今は“岐”を地名に、“歧”を“分歧”“歧路”のような熟語に、使い分けられている。日本語では“沈”を昔のまま使っているが、中国語では今“沈”が地名と人名に使われるが、熟語では“沉”に変わった。

動詞として相通じる“聯”と“連”は日本語では「連」に統合されたが、中国語ではまだ使い分けられている。

中国語では“坐”と“弯”を動詞として、“座”と“湾”を名詞として使い分けているが、日本語では、「坐」と「座」を「座」に、「弯」と「湾」を「湾」に統合したので、中国の日本語学習者が注意すべきところである。

4.3 俗字や古字などの使用

4.3.1 中国語では正字を、日本語では中国の俗字を採用した

掛—挂 覇—霸 窓—窗 収—收 卆—卒 砕—碎 酔—醉

穂—穗 喝—喝 渇—渴 巣—巢 稲—稻 聡—聪

4.3.2 日本語は中国の俗字を採用し、中国語は簡略化した

戯—戏 剣—剑 勧—劝 径—径 軽—轻 聴—听 庁—厅

両—两 帯—带 発—发 帰—归 遅—迟 郷—乡 譲—让

醸—酿 変—变 県—县 楽—乐 権—权 歓—欢 観—观

済—济 斉—齐 暁—晓 縁—缘 斎—斋 穏—稳 隠—隐

篭—笼 浅—浅 銭—钱 残—残 竜—龙 亜—亚 唖—哑

闘—斗 歯—齿 隣—邻 総—总 拠—据

4.3.3 日本語では中国の古い字を使い、中国語では簡略化した

処—处

4.3.4 日本語では中国の古い字を使い、中国語では使わなくなった咲 偲 囲 丼

4.3.5 中国語では古い字を使い、日本語では俗字を使う

従—从

4.3.6 日本語では日本の俗字を使い、中国語では簡略化された

労—劳 蛍—萤 栄—荣 単—单 営—营 弾—弹 蝉—蝉

実—实 応—应 専—专 伝—传 対—对 悩—恼 脳—脑

桜—樱 亀—龟 縄—绳 蝿—蝇

4.4 複数の漢字が一つに簡略化されたり統合されたりした

4.4.1 中日双方で複数の漢字が一つに簡略化された

弦絃—弦 剋尅克—克

「繁体字—日本語—中国語」の順番で並べていく。

團糰—団—团 鄉鄕—郷—乡 懽歡—歓—欢 聼聽—聴—听

雞鷄—鶏—鸡 劍劒—剣—剑 徑逕—径—径

墰壇壜罈罎—壇—坛

4.4.2 中国語で複数の漢字が一つに統合された

冬鼕—冬 噹當—当 旋鏇—旋 麻蔴—麻 昆崐崑—昆

4.4.3 日本語と中国語でそれぞれ違う漢字が同じ漢字に統合された

表錶—裱表—表

中国語では“表”と“錶(携帯できる時計)”を“表”に統合したが、“装裱”の“裱”はまだ使われている。日本語に「錶」という字が使われなかった。“裱”の代用字として「表」を使ったので、「裱」と「表」を「表」に統合したといえる。

4.4.4 日本語で、複数の漢字が一つに統合された

辨 辯 瓣 辮 辦弁(28)

4.5 複数の繁体字があるが、それぞれ違う繁体字に準じた

漢字を造った人や造った場所、そして造った方法などにより、同じ意味を表す漢字が多数存在していた。中日両国の文字改革の時、それぞれ違う繁体字に準じたので、字体の違いが生まれたのである。次のような例があげられる。

「繁体字—日本語—中国語」の順番で並べていく。

鍊煉—錬—炼 舖鋪—舗—铺 擧舉—挙—举 勳勛—勲—勋

鑛礦—鉱—矿 澁澀—渋—涩 藥葯—薬—药 窯窰—窯—窑

粧妝—粧—妆 鋻鑑鑒—鑑—鉴 讚賛贊—賛—赞

4.6 日本語でもともと中国語にある漢字に簡略された

典型的な例として「芸」「缶」「欠」「糸」「浜」などが挙げられる。

日本語の「芸」は「藝」の簡体字で、「藝」の上の「草冠」と下の「云」を取って、真中を省略して、造られたと考えられる。しかし、もともと中国語に“芸”という漢字があったので、中国語では“藝”が“艺”に簡略化されたのである。“芸”の繁体字は“蕓”であった。《康煕字典》に“蕓”と“芸”が両方収録されて、ある香ばしい草を指す。したがって、日本の文字改革の時、《康煕字典》に基づいていないところがあると言えるだろう。

濱浜 日本語:海浜 中国語:海滨

“浜”と“濱”は中国語では二つの違う字で、両方とも《康煕字典》に収録されている。“浜”は“安船溝也。一曰溝納舟者曰浜。”(29)つまり「船を納める(浮かべる)溝」を指すが、“濱”は「水際」を指す。《新华字典》(30)は“浜”と“濱”について次のように説明している。

浜:bāng [方言]。小河沟。常作地名用字。

訳:(方言)小川。よく地名に使われる。

滨:(濱) bīn 湖、河、海的水边陆地。

訳:湖、川、海の水辺の陸地。

『漢字源』では「浜」について「もとはクリークのこと。のち、濱の略字として用いる。」と説明してある。

中国語では両者をまだ使い分けている。発音も明らかに違っているが、日本の地名の「横浜」は「Héng bīn」と発音されているが、中国語の地名と違っている。

日本語では「闕」と「缺」を「欠」に簡略化したが、中国語では“缺”と“欠”は違う字で、使い分けられている。“阙”は書き言葉で、まだ使われている。“阙”と“缺”は相通じるところもあれば、異なるところもある。中日熟語の対応関係は次のとおりである。

4.7 日本語で別の漢字に書き換えられた

日本では同音の書き換えがずっと昔から行われてきた。日本語での音読みが同じで、意味も近かったり、新しい意味が加わったりできるので、書き換えがなされたのだろう。

中国語の“漁翁之利”は日本語では「漁夫の利」になっている。“漁翁”は昔また“漁父”と呼ばれたのである。中国語では“漁父”と“漁夫”の発音はほとんど同じだったが、意味が違っている。「漁父」と「漁夫」は日本語の音読みで両方とも「ぎょふ」なので、書き換えられたのだろう。

「探検」は中国ではずっと“探険”が使われてきたが、日本語では「検」と「険」は同じく「けん」と読むし、「調べる」「測る」などの意味を付け加えることもできるので、「探険」が「探検」に書き換えられたのだろう。

「栄養」は中国語では昔から“營養”が使われてきたが、今は“营养”と簡略化されている。多くの人が日本人の造語だと思っているが、実は日本人が中国語の“營養”を「栄養」に書き換えたのである。

日本語の当用漢字と常用漢字の制定により、書き換えの言葉が大量に生まれたが、「漁夫」「探検」「栄養」などが書き換えの言葉として扱われていない。他の書き換えの言葉について、別の機会を利用して、詳しく述べたい。

4.8 中国語では異体字であったが、日本語では違う漢字として扱われている

“脅”“脇”はもともと異体字であった。《康煕字典》(31)の“脅”の説明に“【集韻】迄及切,音吸。脅肩,竦體也。或書作脇。”と書いてある。意味はもともと「わきの下の肋骨のあるところ」を指していた。「両側から腕をつかんで捕まえる」から「脅迫する」「強制する」「おどかす」「おびやかす」などの意味が生まれたのである。中国語で“胁”に簡略化されたが、“肋”と区別しなければならない。日本語ではまだ両方存在していて、「おどかす」「おびやかす」などの動作を「脅」と、わきという名詞を「脇」と書き、使い分けている。

4.9 通用する場合もあるし、使い分けられる場合もある漢字

中国語で“了”と“瞭”は「はっきりしている」という意味を表す時、置き換えできるが、“了”が“瞭”より多用されている。日本語では「瞭」が「了」より多用されている。双方の熟語の対応関係は次のとおりである。

中国語の“豫言”“預言”は“预言”に統合されたが、日本語では「豫言」が「予言」に簡略化されて、「預言」と使い分けられている。また、『大辞泉』では「よび」の表記として、「予備」「預備」が両方使える。

日本語では「豫」と「予」を「予」に統合したが、中国語では「あらかじめ」の意味を表す“豫”は“预”に統合したが、“犹豫”の“豫”は変わっていない。日本語では“犹豫”が「猶予」になっている。中国語の“予”は「与える」の意味を表し、“预”は「あらかじめ」を表すが、「預かる」「預ける」の意味がない。

4.10 日本語にしかない漢字

日本語で造った漢字は国字と呼ばれている。日本語の常用漢字表に「込働峠畑匁」などがある。“咲偲囲丼駄塀扱”などは昔中国にあった漢字なので、日本の国字と言えない。“滝”のような漢字は“瀧”を簡略化した俗字で、国字といってもいい。

“駄”という漢字について、《汉语大字典》では、“馱”は“‘驮’的繁体字。亦作‘駄’。”と説明している。現在は“驮”を使っている。《全唐文》では「馬+犬」という漢字がたくさん確認できた。

「塀」について、『大辞泉』は国字と説明しているが、《汉语大字典》は“人名用字。明代有朱邃塀。见《明史·诸王传二·庆王》。”と説明しているので、古代中国にあった漢字であることがわかる。

「扱」は日本語でよく使われているが、現在中国語では使われていない。《康煕字典》に収録されているが、《现代汉语词典》に収録されていない。日本の国字と思う人がいるかもしれないが、古代中国にあった文字である。

4.11 日本語漢字字形の不一致

4.11.1 同じ部分を持っている漢字字形は常用漢字で変わっているが、非常用漢字では変わっていない

「頻度」の「頻」が常用漢字で、筆画の点が一つ多くなっているが、「顰蹙」の「顰」は常用漢字ではないので、中国語の繁体字をそのまま使っている。

「せっけん」の表記は「席巻」と「席捲」の両方があるが、「捲土重来」の「捲」は常用漢字表外字なので、古い繁体字をそのまま使っているが、「巻」は常用漢字で、書き方が変わっている。

日本語の「判」は左の縦線ガ《康煕字典》と同じであるが、点の向く方向が変わったが、「叛」は常用漢字表外字なので、《康煕字典》の書き方と全く同じである。

「數」が「数」に簡略化されたが、「藪」「屢」などは繁体字のまま使われている。

4.11.2 同一偏旁は同形に簡略化しない

日本語で古くから中国の民間で使われた俗字を採用し、「佛」を「仏」に簡略化した。そして、同じ旁を持つ「拂」を「払」に簡略化したが、「沸」などは簡略化していない。

同じ旁の「蜀」を持つ「獨」「觸」は「独」「触」に簡略化されたが、「濁」「燭」などは変わっていない。中国語では全部「虫」旁の“独”“触”“浊”“烛”に簡略化された。

中国人の日本語学習者が日本語の漢字を習得するときに、こういう簡略化の不統一に留意しなければならない。4.11.3 古い字と簡体字の並存

日本語に「曽」と「曾」が並存しているユニークな現象がある。「かつて」と読む場合は「曽」と表記するが、熟語の「未曾有」の場合は「曾」と書き、古い字形を使う。このような字形の不統一は日本語学習者に混乱をもたらしかねないので、注意してもらう必要がある。

5. 終わりに

日本語常用漢字の中の大部分の漢字字体は現在の中国語と同じであるので、中国人の日本語学習者にとって非常に有利である。一部分の漢字の字体がそれぞれの簡略化により微妙に違っているが、その違いを詳しく紹介して、学習者に注意をしてもらえれば、その漢字の字形の習得はそれほど難しくないだろう。

中日字形の問題として11の項目を挙げたが、その中で「4—1 中国語で簡略化されたり一つに統合されたりしたが、日本語では二つ以上の表記が併用されている」、「4—7 日本語で別の漢字に書き換えられた」、「4—9 通用する場合もあるし、使い分けられる場合もある漢字」などは、中国人日本語学習者にとって習得上の困難点になると予想できる。

(1)周平,陈小芬(1993)の編集した《新编日语》は第1-4冊あるが、普通日本語科の一年生、二年生の基礎日本語の教科書として使用されている。

(2)周平,陈小芬.新编日语,第1册.上海外语教育出版社,1993,p78.訳:現在日本語の漢字字形とわが国で通用している漢字字形を比べると、まったく同じものもあれば、多少違うものもある。そのほかに、一部の漢字が漢字の構成法(主に会意)をまねて造られたもので、日本語で「国字」と呼ばれる。

(3)崔崟.日本语通论.大连理工大学出版社,2003,p70.

(4)崔崟.日本语通论.大连理工大学出版社,2003,pp.70-71.

(5)「丼」と「偲」は《康煕字典》に収録されている。それぞれp81とp111に確認できる。

(6)顾海根.日本语概论.北京大学出版社,1998,pp.111—117.

皮细庚.日语概说.上海外语教育出版社,1997,pp.92—107.

李月松.现代日语中的汉字研究.上海外语教育出版社,pp.106—110.

翟东娜,潘钧.日语概论.高等教育出版社,2008,p61.鲁宝元.日本語と中国語の対照研究と中国語教育.华语教学出版社,2005,pp.60—63.

渡边实著,战庆胜译.现代日语概论——日本语概说.大连理工大学出版社,2006.

朱京伟.日语词汇学教程.外语教学与研究出版社,2005.

刘元满.汉字在日本的文化意义研究.北京大学出版社,2003.

沈宇澄.现代日语词汇学.上海外语教育出版社,1998.

(7)林玉惠.調査報告字形の誤用からみた日中同形語の干渉及びその対策——台湾人日本語学習者を中心に.日本語教育,112,2002,pp.45—54.

(8)日本語教育,112,p45.

(9)日本語教育,112,p45.

(10)荒川勸.日中同形語.大東文化大学紀要 人文科学,21,1983,pp.17—29.

(11)曽根博隆.日中同形語に関する基礎的考察.明治学院論叢,424,1988,pp.61—96.

(12)橘純信.「現代中国語における中日同形語の占める割合.国際関係学部研究年報(日本文学),15,日本大学国際関係学部,1994.

(13)日本語教育,112,p46.

(14)林玉惠(2002)の論文記述に、また次のような問題がある。論文の表現が厳密的ではなく、用語が多くて混乱している。「元の字(康煕字典に準じるもの)」、「標準字体」、「旧字体」、「異体字」、「簡体字」、「繁体字」、「中国大陸の簡体字」、「日本由来の簡体字」など、用語の概念がはっきり区別されていない。「繁体字」は「簡体字」に対して言う言葉なので、対応する「簡体字」がなければ、「繁体字」も成り立たなくなる。台湾特有の簡体字として「隐」「稳」の例を挙げたが、「隐」「稳」は中国大陸でも使われている簡体字なので、「台湾特有」とは言えない。また、「日本漢字由来の簡体字」は「日本人の造った簡体字」という意味だろう。しかし、その例として挙げられた「悪」「囲」「賛」「粛」「証」「触」「酔」「髄」などの漢字はすべて昔中国で使われた漢字である。「囲」「賛」「粛」「証」「触」は《康煕字典》、「悪」「酔」「賛」は《宋元以来俗字谱》、「髄」は《汉语大字典》に収録されている。したがって、日本漢字由来の簡体字の例として挙げるのはふさわしくない。「日中台で共用する簡体字」の例として、「浜」と「濱」を挙げたが、「濱」の中国大陸での簡体字は「滨」である。明らかにふさわしくない例である。台湾はほとんど繁体字を使っているので、漢字の表記の問題は大陸ほど複雑ではないが、台湾の日本語学習者は必ず日本語の常用漢字と非常用漢字の問題にぶつかる。論文ではその問題や書き換えの問題などに触れていない。

(15)万玲华.中日同字词比较研究.华东师范大学博士学位论文.2004.

(16)中日同字词比较研究,p20.

(17)中日同字词比较研究,p94.

(18)訳:「一、違う正字·俗字を採用したもの」、「二、簡略化によって字体の違いをもたらしたもの」、「三、筆画による違い」

(19)訳:「中国語で簡略化されたが日本語で簡略化されていないもの」、「日本語で簡略化されたが中国語で簡略化されていないもの」「中日双方で簡略化されたが、結果が違うもの」

(20)万玲华(2004)の論文にまた次の問題がある。漢字の例と用語が一致しない。

“第三节中日常用同字词用字的差异”で「異体字」の例として、“邻国/隣国”を挙げたが、“邻”は“鄰”の簡化字で、“鄰”と“隣”は異体字であることをはっきり説明しなければならない。“万”“処”“虫”“号”などは「繁体字」の“萬”“處”“蟲”“號”よりずっと古いのに「俗字」と見なされたのは不合理である。

「日中両言語」で“古今字”の使用によってそれぞれ字形が違う例として、“発見/发现”“深思/沉思”“深重/沉重”“往反/往返”などを挙げるのは明らかに問題がある。「古今字」の概念に合わないのはもちろん、「発見」と「発現」は両方とも日本に存在している言葉で、意味も違う。“深思/沉思”と“深重/沉重”の「深」と「沉」は明らかに違う字である。日本語に「往反」という言葉がない。「往返」という言葉があったが、今はほとんど使われない。その代りに、「往復」が多用されている。

“属古音通借的用字相异”に“有些中日同字词用字差异实际上是跟古汉语中的有关,日语词的某个字是假借用字的遗留”と書いてあるが、その例として挙げた“纪念/記念”“提唱/提倡”に対する説明では“‘記’是本字,‘紀’是借字;‘唱’是本字,‘倡’是借字”と、正反対になっている。そして、中日言葉の順番が混乱しているし、例として挙げられた「標誌」も『日本国語大辞典』などの辞書に確認できなかった。

同音の書き換えについて“大部分的同音替代字与与被替代字之间没有意义上的联系(大部分の同音の置き換えは代用字と書きかえられた漢字の間に意味のつながりがない)”と結論をつけているが、明らかに違っていると思う。日本語の同音の書き換えの時、できるだけ意味が同じだったり近かったりする漢字を採用するのは一般的である。

同義の書き換えの例として、「謙遜/謙虚」を挙げたが、「謙遜」が「謙虚」に書き換えられたとは言えない。

“为了淘汰一些字,改变词的用字(一部分の漢字を淘汰するために、漢語の用字を変えた)”という言い方は正しいとは言えない。その例として「元旦/元日」「参詣/参拝」「誕辰/誕生」「必須/必要」「謄写版/復写版」を挙げたが、「旦」「詣」「辰」「須」「謄」などの漢字が淘汰されたわけではない。「復写版」は「複写版」と書くべきである。“也有改换成和语的(和語に書き換えられたものもある)”の例として、「破毀する」を「破る」に、「杜絶」を「とだえる」にと説明しているが、実際はそれぞれ「破棄」「途絶」に書き換えられている。

(21)馬鳳如.日中常用漢字字形の比較研究.山口県立大学学術情報,第2号,2009.

(22)馬鳳如.日中常用漢字字形の比較研究.山口県立大学学術情報,第2号,2009,p13.

(23)馬鳳如(2009)の論文にまた次の問題がある。日本語の「護」に対応する中国語の簡体字の“护”を“卫”に間違えてしまった。中国語の今の漢字の“贼”と日本語の「賊」の違い、日本語の「隹」を含む漢字の「点」の方向が現在の中国語と逆である違いなどを指摘していない。もちろん「隹」の書き方は《康煕字典》と同じである。

(24)馬鳳如.日中常用漢字字形の比較研究.山口県立大学学術情報,第2号,2009,p18.

(25)『常用漢字表』の「字体についての解説の第1·第2」は次のとおりである。

第1 明朝体活字のデザインについて

常用漢字表では,個々の漢字の字体(文字の骨組み)を,明朝体活字のうちの一種を例に用いて示した。現在,一般に使用されている各種の明朝体活字(写真植字を含む。)には,同じ字でありながら,微細なところで形の相違の見られるものがある。しかし,それらの相違は,いずれも活字設計上の表現の差,すなわち,デザインの違いに属する事柄であつて,字体の違いではないと考えられるものである。つまり,それらの相違は,字体の上からは全く問題にする必要のないものである。

第2 明朝体活字と筆写の楷書との関係について

常用漢字表では,個々の漢字の字体(文字の骨組み)を,明朝体活字のうちの一種を例に用いて示した。このことは,これによつて筆写の楷書における書き方の習慣を改めようとするものではない。字体としては同じであつても,明朝体活字(写真植字を含む。)の形と筆写の楷書の形との間には,いろいろな点で違いがある。それらは,印刷上と手書き上のそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差と見るべきものである。

(26)劉復,李家瑞編.宋元以来俗字譜.異体字研究資料集成,2期8巻,雄山閣出版,1995.

(27)中根元珪編.異體字辨.異体字研究資料集成,1期2巻,雄山閣出版,1974,p46.

(28)『大辞泉』の「弁」に関する説明の10に「(「辨」の代用字)事を処理する。事務をさばく。」と書いてあるが、もともと中国語の繁体字の「辦」を書くべきで、「力を入れて処理に当たる」という意味を表したので、「力」という字が真ん中に入っていたのである。今中国語では「办」と簡略化されている。

(29)(清)張玉書等編纂.康熙字典.漢語大詞典出版社,2002,p623.

(30)http://tool.httpcn.com/Html/Zi/28/PWMERNRNTBTBDUYC.shtml.http://tool.httpcn.com/Html/Zi/29/PWXVKORNPWTBEEXV.shtml.

(31)((清)張玉書等編纂.康熙字典.漢語大詞典出版社,2002,p982.

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