第九章 中日同形語と数量詞
1. はじめに
“数量词”(1)とは物事の数や動作の回数などを表す“数詞”+“量詞”(日本語で普通「助数詞」と呼ばれている)の複合語である。日本語の助数詞の数は500個ぐらい(2)あるのに対して、中国語の常用「量詞」は600ぐらい(3)に達する。その中で、重なっている(4)のは次の量詞である。
位 行 具 群 号 座 次 児 巡 丈 条 場 陣 台
代 題 団 段 度 道 日 年 倍 尾 秒 部 文 枚
幕 名 面 目 夜 葉 里 流 輪 列 連 把 課 架
顆 回 角 画 缶 季 期 脚 客 球 級 局 曲 斤
句 戸 個 口 項 歳 冊 種 首 株 周 升 床 寸
隻 節 戦 艘 層 双 着 挺 張 対 通 手 滴 点
頭 套 棟 等 派 杯 拍 発 匹 筆 票 分 封 幅
片 辺 遍 歩 本 光年 周年
枝 串 口 組 声 包 粒 壺 箱 針 袋 節
これらの量詞と数詞からなる数量詞は(両国で簡略化された字形の問題を考慮に入れない)全部中日同形語の範疇に入る。また漢数字とアラビア数字の両方を同形語として扱う。量詞の数は限られているが、数詞は限りないので、数量詞としての中日同形語も限りがない。
2. 先行研究
数量詞が日本語学習者を悩ます問題であることは多くの研究者に注目されてきた。張麟声(1983)は『日本語教育辞典』に挙げられた二十五の助数詞を例に、中日助数詞の構造と機能を比較した。中川正之·李浚哲(1992)は主に中国語母語話者の「一」を含む数量詞の過剰使用問題や名詞の複数や個と類などについて検討した。中国語母語話者の「一」を含む数量詞の過剰使用問題が中野洋(1997)にも指摘されている。趙暁曦(2006)は中国語の量詞と日本語の助数詞の定義の相違点や「一」+量詞の中日での意味を比較し、名詞の「類」と「例」の問題と数量詞、名詞の「特定」と「不特定」の問題と数量詞を考察したうえで、認知の視点から量詞の役割を分析した。しかし、管見の限り、中日同形語の視点から中日数量詞の異同を比較する論文はまだ確認されていない。
3.数量詞と中日同形語
中国語母語話者としての日本語学習者にとって、「群、号、題、秒、夜、流、列、回、局、曲、歳、冊、株、寸、滴、票、光年、周年、針、袋」などの量詞を含む数量詞は全く問題がないと言ってもいい。例えば、次の例文(5)の中での数量詞は誤解が生じにくいと思われる。
(1)現職候補者に1票(6)を投じた/我给现任候选人投了一票。
(2)大学生らしい一群/一群大学生打扮的人。
(3)火は平屋1棟を焼いた/大火烧掉了一栋平房。
(4)毎秒50回の振動/每秒振动50次。
(5)祖母は80歳だが、かくしゃくとしている/我祖母到了80岁还是挺硬朗的。
(6)開校100周年記念の行事/纪念建校100周年的活动。
(1)~(6)の中の数量詞は中日で同じ意味用法(7)なので、問題が起こらないと思われる。しかし、次の例を見よう。
(7)タバコ、1箱1000円にすべき/香烟应该提价到一千日元一包。
「1箱」は“一箱”と意味が大きく違っている。タバコが入る“箱”として、中国語ではどうしても「段ボール箱」をイメージする。「段ボール箱いっぱい入っているタバコは1000円」と理解したら、とんでもない誤解になってしまう。「箱」は「木や厚紙などを材料にして、物を入れておくために、各面を囲った器。」を意味し、「段ボール箱」のような大きなものも「宝石箱」のような小さいものも指すことができるので、中国語の“箱”と違うのである。また中国語で言う“一箱宝石”“一箱珠宝”の“一箱”と日本語の「宝石箱」は月とすっぽんと言えるであろう。「箱」のような中日での意味用法が大きく違う量詞がたくさんある。以下中日同形語としての数量詞を詳しく比較していく。
3.1 中国語の「一」+量詞の意味
張麟声は《我的祖国》という歌の歌詞“一条大河波浪宽,风吹稻花香两岸”の日訳について、次のように述べた。
ありふれた歌詞に「一条大河波浪寛,風吹稲花香両岸」というのがあるが、これを日本語に「一本の大河、波浪はゆるやかで……」と訳して、その「一本」が不自然だと言われて、がっかりしてしまうようなことがよくある。
なぜがっかりしたのか説明されていないが、中国人として、数量詞が入らなければ、何か物足りない感じがしてならないのである。中国語の数量詞は数量を明確に表すほかに、ある意味を付け加えたり、修辞的な働きを持ったりしている。この歌詞では“一条”は“两岸”に対して使われ、対句のようになっている。また“一条”は細長いイメージを伴っているので、「一本の細長く、川幅の広い大きな川」は非常に壮大なスケールを意味しているが、もし、“一条”がなければ、細長いイメージなどが消えてしまう。また「一本」に訳されて
も、その味わいが違い、音韻的な美しさもなくなってしまう。
(8)夜空に満月が明るく輝いている/一轮皎洁的圆月挂在夜空。
“一轮”は「丸い月」を修飾して、その「丸い」イメージを強めるばかりでなく、音韻的な美しさをも与えてくれる。
(9)電車で上品な老婦人と隣り合わせた/电车上我旁边坐了一位气质高雅的老太太。
“一位”に尊敬の意味が込められている。
3.2 「数詞+名詞」の言葉
中国語の数量詞は白話文が普及する前にほとんど「数詞+名詞」の形であったが、今も一部の言葉はそのように使える。例えば、“一技之长(一芸に秀でる)”の“一技”“总统会见三国大使(大統領が3か国の大使と会見する)”の“三国”はそのような使い方である。そのほかに、中日とも使われている言葉は「一命、一夜、一子」「二月、二流、二重唱、二勝、二等、二号、二価、二元、二項、二審、二列、二心」「三軍、三原色、三者」「五官、五感、五経、五行、五指、五色、五臓六腑」「二十歳、三十六計」「百害、百獣、百戦」「千里、千金、千鈞、千軍、千載、千慮」「万国、万歳、万事、万難、万人、万能、万物、万里」などがあるが、“五官”と「五官」の意味が違う。「五官」は「仏教にいう五根から出た語」で、「五感を生ずる五つの感覚器官。眼(視覚)·耳(聴覚)·鼻(嗅覚)·舌(味覚)·皮膚(触覚)をいう。」(8)“五官”は目·耳·鼻· 口·舌の五つの感覚器官を指し、広くは“五官端正”のように「目鼻立ち」「顔つき」もいう。
3.3 数量詞の使い方の違い
3.3.1 日本語での「一」+量詞の省略
日本語では「一+○」の数量詞がよく省略されるが、特に修飾語がついている場合、省略されやすいが、中国語では省略できない。「一」などの数量詞が入らなければ、中国語では具体的な数量が分からなくなり、表現が厳密ではなくなる可能性が大きい。このような文脈上のずれがあるので、中国語母語話者にとって一つの壁である。次の例文(9)を見てみよう。
(10)いい知らせをもらった/得到一个好消息。
(11)天井にハエがとまっている/天花板上落着一只苍蝇。
(12)あの家では獰猛なイヌを飼っている/那个家养着一条凶猛的狗。
(13)庭に大きな石がでんと据えてあった/院子里沉甸甸地放着一块大石头。
(14)地震で学校の外壁に罅割れができた/因为地震学校的墙上裂了一条大缝。
(15)昨夜、近所のスナックで警察の手入れがあったらしい/听说昨晚警察搜查了这附近的一家小酒馆。
(10)の「いい知らせ」は日本語では普通「一つ」を指すが、中国語では“好消息”は「一つ」とは限らないので、“得到好消息”だけでは数が分からなくなってしまう。したがって、“一个”をつけなければならない。(10)~(15)の文は前後の文脈がなければ、中国人は「数量」が「一」であるとの理解に戸惑う人が多いだろう。3.3.2 数量の意味が含まれている日本語表現
日本語の数量表現は漢数字とは限らない。外来語だったり和語だったりする数量の意味が含まれている言葉や表現も少なくない。「ワン、ツー、…テン」「ペア」「ダース」「初、ラスト」「倍増」「つがい」などが挙げられる。
(16)ペアのセーター/情侣毛衣。
(17)つり合いのとれたカップル/很般配的一对儿。
(18)父とツーショットの写真をとる/拍与父亲二人照。
(19)搭載メモリを倍増 した新モデル/内部存储器的容量增加了一倍的新款。
(20)冬の湿原 でつがいのツルが鳴き交わしている/冬季的湿地上有一对仙鹤在对鸣。
(21)「第3の男」のラストシー ンは心に残る名場面だ/电影《第三个人》的最后一个镜头是令人难以忘怀的场面。
3.3.3 中国語での数量詞の不使用
中国語での「一+量詞」の多用がしばしば指摘されているが、日本語で数量詞が使われ、中国語で使われない(10)場合もある。次の例を見てみよう。
(22)大山鳴動して,鼠ねずみ一匹/雷声大雨点小/虎头蛇尾。
(23)どさ回りの一座/在地方巡回演出的剧团。
(24)一部の農村にまだ土葬の風習が残っている/农村的部分地区还保留着土葬的习俗。
(25)指一本差させない/不容许人干涉。
(26)二度とうちの敷居をまたぐな/不许再登我家门。
(27)石の上にも三年/只要功夫深,铁杵磨成针。
(28)傍目(おかめ)八目/当局者迷,旁观者清。
(29)七重のひざを八重に折って頼む/低声下气地恳求。
(30)かわいさ余って憎さ百倍/爱之切则恨之深/爱有多深恨就有多深。
(31)三面記事/(报刊的)社会版面。
(32)その事件は一面のトップを飾った/那个事件登在头版头条。
(33)万人向けのデザイン/面向大众的设计。
(34)顾此失彼/一方に気を取られ他方がおろそかになる。
(35)分秒必争/一刻を争わなければならない。
(22)、(27)、(28)、(29)、(30)などの数量詞の入っている日本語慣用句は中国語に直訳できないので、意訳によって数量詞が使われなくなったのである。(23)の「一座」、(24)の「一部」は数量詞というより、名詞の使い方で、(26)と(27)は打消しと一緒に使われている。(31)と(32)は新聞に特定された意味で、(34)と(35)は中国語の簡潔な表現が日本語に翻訳されたとき、数量詞が使われたのである。
中日の数量を含む言葉や表現がたくさんあるが、意訳される場合、数量詞の使用にずれが出てくるわけである。
3.3.4 意訳による数量詞の増加
日本語で数量詞が使われない慣用表現や使われにくい表現が、中国語に意訳されたとき、数量詞を使って初めて活き活きとした表現になる場合が少なくない。次の例は全部この類に属する。
(36)うそも方便/不说真话有时也是一种权宜之计。
(37)女三人寄れば姦ましい/三个女人一台戏。
(38)どんぐりの背比ベ/半斤八两。
(39)時は金なり/一寸光阴一寸金。
(40)茫洋たる大草原/一望无际的大草原。
(41)あの人は怒り上戸だ/他三杯酒下肚就要发火。
(42)おたがいに譲り合う/双方各自退让一步。
(43)頭から湯気を立てて怒る/气得七窍生烟。
(44)思わずかっとなって相手をなぐってしまった/不由得火冒三丈,动手打了对方。
(45)しつこく催促したあげく,やっと相手は重い腰をあげた/经过三番五次的催促,对方总算行动起来了。
(46)この機関車の模型は鉄道ファンにとっては生唾ものだ/这种机车的模型对铁路迷来说简直是垂涎三尺。
3.4 中国語での意味用法が多くかったり使用範囲が広かったりする数量詞
基本的な意味が同じであるが、中国語で使われる対象が多く、使用範囲が広い数量詞の同形語として、「一顆」「一糸」「一種」「一陣」「一場」などが挙げられる。
「顆」は「ルビー」「宝石」などの小さいもの·粒状のものを数える点では共通しているが、中国語では“星”“卫星”“子弹”“痣”“心”などを数えるのにも用いられる。
(47)犯人は目元に大きなほくろがあった/犯人的眼睛周围有一颗很大的黑痣。
(48)保持一颗好奇心(作例)/常に好奇心を持つ。(筆者訳)
“一丝”は“一丝不挂”“一丝不乱”が日本語の「一糸まとわず」「一糸乱れず」と同じであるが、その他に、“笑容”“微笑”“焦虑”“担忧”“愁容”“云彩”“希望”などを修飾することができる。
“一种”と「一種」は基本的には同じであるが、中国語では抽象的な名詞を修飾する時、日本語より多用される(11)。例えば、「この文章には一種の味わいがある」「一種独得のかおり」「一種異様なムード」などのように「どことなく他と異なっていること。」を意味する。
「一枝」は「ひとえだ」と読まれ、花·実·葉などがついた枝を雅語的に数える数量詞であるが、中国語では“烟(タバコ)”“猎枪(猟銃)”“毛笔(筆)”などの細長いものを数えるとき使われる。
「一場」は「栄華は一場の夢」「一場の春夢」「一場の演説」ぐらいにしか使われないが、“一场”は日本語よりずっと多く使われている。“场”は“cháng”と“chǎng”の二つの読み方がある。“cháng”と読む場合、(1)“大雨、暴雨、雪、暴风雪、台风”などの自然現象や災害、“辩论、论战、大战、小冲突、持久战、恶斗、攻坚战、混战、风波、血战、斗争”などの社会的活動、“车祸、事故、灾难、悲剧、悲喜剧、大病、麻烦、虚惊、误会”などの災難や思いがけないことを始まりから終わりまでを一つの顛末として数える。“chǎng”と読まれる場合、コンサートなどの公演、映画の上映、サッカーやバスケットポールなどのスポーツの試合、各種の試験など、特定の場所で行う催しの始めから終わりまでを一つと数える。また、動量詞として、“高兴一场”“欢喜一场”“大干一场”“大闹一场”のように動詞の後について行為の一区切りを表す。
「一陣」は「一陣の風」「一陣の驟雨」ぐらいにしか使われないが、中国語では人が感じた、しばらくの間続いた“歌声、掌声、鼾声、马蹄声、敲门声、脚步声、吵闹声”などの音や声、“剧痛、头昏、心酸、绞痛、昏眩、烘热、发热”などの体の調子、“骚乱”“摇晃”などの様子を表し、名量詞と動量詞を兼ねている。
「一頭」は「一頭地を抜く」の「頭一つ」の意味以外に、馬·牛·羊·豚など獣類を数える数量詞として使われる。“一头”は数量詞の他に、副詞と名詞の使い方もある。数量詞の場合、“一头”は牛·羊·豚などを数えるのに使われるが、馬には使われない。馬を数えるとき、“匹”という専有量詞が使われる。名詞の場合、「一方の先。一端。片方」「頭一つ分ほどの高さ」のほかに、「頭いっぱい」の意味を表す。“一头白发(白髪だらけ)”“出一头汗(頭に大汗をかく)”の“一头”はその例である。副詞の場合、「ながら」「突然。ばったりと」「すばやく。さっと」「いきなり頭から」などの意味を表す。
3.5 動量詞と名量詞
中国語で“量词”は“动量词”と“名量词”に分類されているが、日本語ではそのような分類がなされていない。“个”“张”などのように、名詞を修飾するものは「名量詞」、“回”“顿”などのように、動詞を修飾するものは「動量詞」と呼ばれている。中日で動量詞と名量詞の違いがある同形語は次のものが挙げられる。
一歩 一番 一通 一把 一脚 一眼 一架
日本語の「一歩」は動量詞だけであるが、中国語の“一步”動量詞だけでなく、“走了一步好棋(好手を指した)”“一步机枪(一挺の機関銃)”のように名量詞としても使われる。
「一番」は「最初。第一。」「一度。一回。特に、歌舞などの一曲。碁·将棋などの一局。相撲の一勝負。」などの意味を表す名詞と数量詞の他に、副詞として「こころみに。まず一度。」と「最も。甚だしく。この上もなく。」の意味を表している。“一番”は“安慰、打点、打量、端量、翻、烘染、激辩、较量、开导、埋怨、劝说、羞辱、妆饰”を修飾する動量詞として多用され、「一通り」「ひとしきり」の意味を表し、“话、事业、景象、情趣、曲折、盛情、工夫、苦功、周折”を修飾する名量詞としても使われるが、日本語に翻訳されにくい。
「一通」は日本語では名量詞だけで、「手紙、電子メール、メモ、祝電、ファックス」「証明書」「通知表」などを数えるのに使われる。“一通”は昔手紙などを数える名量詞として使われたが、今は動量詞だけで、“忙了一通”“吃喝一通”“乱写了一通”のようにマイナス的な表現に傾き、「一通り」の意味を表す。
「一把」は「ねぎ」「薪」「小松菜」「線香」「そうめん」「稲束」など人間の片手で握った程度の太さの束を数える名量詞だけであるが、“一把”は名量詞と動量詞を兼ねている。名量詞として、日本語の意味の他に、“手枪(ピストル)”“椅子(椅子)”“锁(錠)”“勺子(スプーン)”“菜刀(包丁)”など「取っ手や柄のあるもの」や“沙子(砂)”“花生米(ピーナッツ)”“药(薬)”など「一握り」の量を表す。動量詞として「一掴み」の具体的な動作や“帮了他一把(彼に手を貸した。ちょっと彼を手伝った)”のような抽象的な意味、“玩一把”のような「一回」の意味などを表すことができる。
「一脚」は椅子·机·肘掛けなどの脚のある家具を数える名量詞であるが、中国語では主に“踢一脚”“踹一脚”“踩一脚”“踏一脚”などのように脚を使う一回の動作を表す動量詞である。“踩了一脚泥”の“一脚”は「脚全体」「脚いっぱい」の意味である。
「架」は衣桁や棚などを数える名量詞である。中国語では飛行機を数えるとき以外は名量詞としてあまり使われない。動量詞としては“吵一架”“打了一架”のように「喧嘩」などのよくない意味に使われる。“吵一架”“打了一架”は“吵架”“打架”のような離合詞に数量詞が挿入されたと考えられる。
「一眼」は「一つの眼。片方の眼。」と「かため。独眼。隻眼。」を意味する名詞であるが、中国語では“一眼井”“一眼清泉”のように「井戸」や「泉」を数える名量詞と、“瞥一眼”“瞪一眼”“看一眼”などのように「一目」の意味を表す動量詞、そして、“一眼荒凉”“一眼惨状”のような「見渡す限り」の意味を表す使い方がある。
3.6 日本語の数量詞の意味用法が中国語より多い
3.6.1 数える対象が多い
「本」は日本語で最もよく使われている量詞と言える。中国語では“一边种几本大芭蕉。”“二十本葱”のように植物を数える量詞として使われたことがあるが、今は“两本书”“一本账”のように本やノートなどを数える量詞としてしか使われない。しかし、「本」は日本語で、「鉛筆」「傘」「紐」「樹木」「ベルト」「缶ジュース」「ビール」「橋」「トンネル」などの細長い物の他に、「相手につながった電話」「運行する電車」「サッカーのシュート」「論文」「映画」「コンピューターやゲームのソフトウエア」などを数えるのにも使われる。
中国語の“一杯”は「お茶」「コーヒー」「ビール」「お酒」などの飲み物にしか使われないが、日本語では意味用法が中国語よりずっと多い。①さかずきだけでなく、「ラーメン1杯も食べられない」「小さじ1杯の砂糖」のように、茶碗や匙などに満ちる分量をも表す。②少し酒を飲むこと。③一定の容器·場所などにものが満ちているさま。④ある限りを尽くして限度に達するさま。ありたけ。⑤イカ·カニや船などの1個。「一杯」は数量詞だけでなく、「広場いっぱいの人」「腹いっぱい」「時間いっぱい」「精いっぱい」などは副詞的に、また接尾語的にも用いられる。ただ、表記は平仮名が多用されている。
“一叶”は「一枚の葉」と「葉のような小舟」を数えるとき使われるが、「一葉」はまた「名刺」「葉書」「写真」「色紙」「短冊」などの薄いものを数えるのに用いられる。
“挺”は中国語で「機関銃」を数える以外に使われないが、日本語では「算盤」「挟」「包丁」「蝋燭」「鋤」「鍬」「鋸」「梯子」「琵琶」「人力車」「墨」「砥石」などに広く使われている。
3.6.2 序数詞を兼ねる
日本語で直接序数詞の意味を表し、等級、順番·程度を表せる数量詞(12)が少なくないが、中国語では普通“第”を付ける必要がある。例えば、次の例を見てみよう。
(49)マラソンで1着になった/在长跑比赛中我得了第一名。
(50)首位から一気に4位に陥落した/排名从第一名一下子下降到第四名。
(51)友人は地元出身の強みをいかんなく発揮して 一位で当選した/我的朋友充分发挥了是本地人的优势以首位当选。
(52)ドーピングが発覚し、2位の選手が繰り上がって金メダルを獲得した/由于金牌得主被发现服用药物,第二名被提上来获得金牌。
(53)タイガースは8回に2点追加して逆転勝利した/老虎队在
第八局又得两分,转败为胜赢了这场比赛。
(49)の「着」は日本語で誕生した新しい意味で、「1着」は「一番早く到着すること。第一位」を意味するが、中国語では囲碁や将棋の一手だけを指す。「マラソン」を“长跑比赛”と訳するのは厳密ではない。(50)~(52)の「4位」「一位」「2位」は等級·順番の「第4位」「第一位」「第2位」の意味を表すが、中国語では“位”は人を数えるときの尊敬的な言い方で、日本語で「名」に当たる。(53)の「8回」は「8回目」「第8回」の意味で、中国語では、“8回”は「8回全部」を指す。
その他に、日本語で「一人称」「二人称」「三人称」と言語行動に参加する人を指しているが、中国語ではどれも“第”を付けなければならない。
3.6.3 名詞を兼ねる
日本語で物事の数を数える他に、名詞として、物事を指すことができる数量詞が少なくない。例えば、「件」「部」「年」「代」などの量詞はそのような使い方をする。次の例文を見てみよう。
(54)この 一件についてどのように考えますか/这件事你是怎么想的呢?
(55)1件の巨大プロジェクト/一个巨型项目。
(56)今日の交通事故は4件だった/今天出了四起交通事故。
(55)(56)の「1件」「4件」は数量詞で、プロジェクトと交通事故の数を数えるが、(54)は「ある事柄や事件」を意味する名詞である。
(57)あまり長い文章は掲載時に一部カットされることがある/一些过长的文章在登载时可能被删掉一部分。
(58)契約書はふつう2部作成する/一般合同要备有两份。
(59)原本から 一部転写した/从原件上转抄了一部分。
(58)の「2部」は数量詞で、契約書の数を数えるが、(57)の「一部」は「一部分」の意味を表す名詞である。(59)の「原本から一部転写した」は理解の分かれるところである。「転写」は「文章、絵、図などをそのまま他に写し取ること。」意味なので、一部分ではなく、「全体を写しとる」と考えられる。したがって、訳文は誤解してしまったと言える。
(60)3年に上がると勉強が難しくなる/升到三年级功课会变得难一些。
(61)3年契約,年俸1億で契約更改した/以三年为期,年薪1亿日元的条件更新了契约。
(60)の「3年」は「三年生」の意味で、(61)の「3年」は「3年間」を表す数量詞である。
(62)三代続いてはじめて江戸っ子といえる/从祖父那辈起一直生活在东京才能称为老东京。
(63)うちの祖母は明治·大正·昭和の3代を生き抜いた/我祖母经历过明治、大正和昭和三个年代。
(64)一代で財産を築き上げる/只一代就把财富积累起来了。
(65)この絵は 一代の傑作だ/这幅画是一代杰作。
(62)の「三代」、(63)の「3代」、(64)の「一代」は全部数量詞である。(62)の「三代」は「三世代」を表す、(63)の「3代」は「三つの時代」を表す。「一代」は「家や事業を興したり継いだりして主となっている間。」「ある一つの時代。当代。」「人の一生。一生涯。」などの意味があるので、やや複雑になる。(64)の「一代」は分かりやすいが、(65)「一代」は「ある一つの時代。」か「人の一生。」か戸惑ってしまうだろう。訳文は“一代杰作”をそのまま使っているが、「一つの時代」と理解しているようである。しかし、一つの時代に優れた画家の優れた作品が数えきれないほどあるかもしれないので、「一つの時代の傑作」と理解するのは適切ではないことが分かる。正確には“毕生的杰作”と訳すべきであろう。
「世紀」は量詞を使わずに「一世紀」「二世紀」のように、「世紀」そのものを使って数える。中国語では“数詞+世紀”は普通時間の点を表すが、時間の長さを表す場合、“数詞+个+世紀”で表す。日本語では「数詞+世紀」は両方の意味を表せる。
3.6.4 副詞やサ変動詞を兼ねる
日本語で「一段」「一層」が副詞化したが、中国語ではまだ数量詞としてしか使われない。また中国語の“一层”は厚さの度合いが曖昧なので、日本語ではほとんど省略されたり使われなかったりする。例えば、
(66)おしろいをべたべたと塗りたくった女/涂了厚厚一层白粉的女人。
(67)アオウミガメの生態は謎なぞのベールに包まれている/大海龟的生态被蒙上了一层神秘的面纱。
“分”は動詞の意味用法があるので、“三分天下”と“三等分任意角”の“三分”と“三等分”は他動詞として使えるのである。しかし、中国語にはこのように使える数量詞が限られている。日本語では「二分」「~周」などがサ変動詞としても使われる。例えば、
(68)月は地球のまわりを約27日で一周する/月亮绕地球一周大约要27天。
(69)グラウンドを5周する/绕操场跑五圈。
(70)サッカーは野球と人気を二分 している/足球和棒球将人们的喜好一分为二。
(71)改憲問題は長年国論を二分 してきた/修改宪法的问题长期以来舆论分成了两派。
3.6.5 読み方が多い数量詞
日本語で二種類以上の読み方を持っている数量詞も少なくない。例えば、「一口」は「いっこう」「いっく」「ひとくち」の三種類があり、「一節」は「いっせつ」と「ひとふし」の二種類がある。
「一口」は「いっく」と読むとき、「一つのくち。転じて、人ひとり、また生き物1匹。」と「釜など口のあいている器物や刀剣などの1個。」を意味するが、「いっこう」は「一つの口。同じ口。」「人ひとり。」「ひとくちに飲食すること。また、一度に物をいうこと。」「一人の言説。」「刀剣·器物を数える語。」などの意味を表すので、「いっく」は「いっこう」の意味に含まれていると言ってもいい。ただ「一口同音」は「いっくどうおん」としか読まない。「いっこう」はまた「釣鐘」「ふいご」「釜」「盃」「壺」「土瓶」などを数える。「ひとくち」は動量詞として物を口に入れたり口から出したりする回数を数えるほかに、「銀行口座」「寄付」「保険」などの単位としても用いられる。
“一口”は動量詞の他に、“他说一口流利的北京话(彼はなかなか流暢な北京語を話す)”“一口假牙(総入れ歯)”などのように「口から出ることば全部」「口に満ちる」の意味を表す。また、副詞として、“一口回绝(きっぱり断る)”“一口答应(二つ返事で承諾する)”“一口咬定(言下に言い切る)”のように、「きっぱりと」「言下に」の意味を表す。
「一節」は「いっせつ」と読むとき、「文章·音楽などの一くぎり。」と「プロ野球などで、試合日程の一くぎり。」の二つの意味を表すが、「ひとふし」と読む場合、「竹·木·草などのふし一つ。」「一つの点。一つの事。一つの折。」「音楽の一調子、また、一曲。歌謡の一くさり。」の他に、鮪、鰹の「片身」を背と腹に分けたものをも指す。日本独特なものである「鰹節」は「ひとふし」である。“一节”は「文章·音楽などの一くぎり。」の他に、「授業の時限」「列車の車両」「スポーツの試合のピリオド」を数えるのに用いられる。
3.7 お互いに別の使い方がある
“枚”は中国語で“邮票”“信封”“指纹”“巧克力”“徽章”“金币”“金牌”“奖章”“勋章”“古钱”“中国结”などの薄いものを数えるほかに、“武器”“炸弹”“火箭”“导弹”“氢弹”“手榴弹”“手雷”などの武器、“蓝宝石”“戒指”“钻戒”“金手镯”“舍利”“恐龙蛋化石”“大枣”“印章”“铁钉”などの円いものや円い面を持っているものをも数える。「枚」が「切手」「コイン」「メダル」のような平面的な薄いものを数える点は中国語と同じであるが、数えられる平面的な薄いものが“枚”よりずっと多い。例えば、「原稿、ポスター、紙、名刺、葉書、写真、チケット、切符、ラベル、クレジットカード、ハンカチ、タオル、手ぬぐい、掛け布団、敷布団、マットレス、毛布、シャツ、皿、レコード、CD、DVD、木の葉」「平目や鯛など薄い魚」、「鰺の開きなどの干物」、「かまぼこ」、「お餅」、「田圃、田畑」、「ざる蕎麦」、「下ろされた魚」などが挙げられる。
「一道」は数量詞だけで、普通「一つの道。」「一芸。」「(光や煙などの)ひとすじ。」などの意味を表すが、「1都1道2府43県」のように「一つの道(どう)」つまり「北海道」を指す使い方もある。“一道”は数量詞のほかに、副詞の使い方もある。数量詞の時、“边、菜、彩虹、城墙、堤、缝、风景线、工序、沟、光、河、界线、泪痕、裂缝、裂纹、浓眉、门槛、命令、墙、亮光、瀑布、缺口、山梁、闪电、闪光、伤疤、伤口、手续、题、湾、阳光、旨令、皱纹、竹篱笆”などの細長いものを数える。副詞としては「一緒に」の意味を表す。
“一身”と「一身」は「一つのからだ」の意味を共有しているが、用法が違う。日本語では「責任を一身に背負う」「人気と好意を一身に集める」などのように「責任」「人気」「好意」「関心」「注目」など多くの言葉を動詞の対象に取ることができるが、中国語では“集国家的一切重要职务于一身”のように、「権力」「機能」ぐらいしか対象にしない。日本語の「一身」は別に「一身をささげる」のように「その人のすべて」の意味を持っているが、中国語の“一身”は「体中。全身。」「(衣服の)揃い」「一人。独り身。」などの意味がある。
「一面」と“一面”は「鏡」「太鼓」を数える数量詞と「一つの側面。一方。一方面。」「一度の面会。」の名詞の場合は意味が共通しているが、数量詞としてもそれぞれ別に数えられるものがある。「一面」は「硯」「扇、団扇」「囲碁や将棋の盤」「顔を覆う面」「琴や琵琶などの楽器」「大型テレビ画面やモニターやソーラー時計など」を数えるのに使われる。“一面”は各種の“旗帜”“墙”“盾牌”“写字板”“黑板”“奖牌”などを数えるのに使われる。名詞の場合、「一面」は他に「面の全体。あたりいっぱい。」「新聞の第1面」の意味があるのに対して、“一面”は“独当一面”のように「(物事の)一方面。一部門。」の意味がある。“一面”はまた副詞として“一面…一面…”の形で、「…する一方で。…しながら…する」の意味を表せる。
「4名様一組で旅行にご招待」と「電池一組」では「一組」は“一组”と意味用法がほとんど同じであるが、大部分の用法が共通していない。例えば、“两个人一组”と表現してもいいが、「大安の日には20組以上が挙式」「毎年2万組の夫婦が離婚」「先着30組に飲み物サービス」のような夫婦などのペアに使いにくい。“一对”が使われるのは一般的である。また、中国語では「少人数のグループ」を表すが、クラスの意味は表せない。例えば、
(72)全班分成三个组/クラス全体を三つのグループに分ける。
(72)の“全班分成三个组”の“组”は「グループ」と訳さなければならない。日本語の「組」は学校で使われる場合、中国語の“班”に当たるからである。
日本語では「セット」の意味で、「5枚の座布団」「掛け布団2枚と敷布団2枚」「和食器5個」「洋食器6皿」などは「一組」と数えるのであるが、中国語では“一组图片”“一组简讯”“一组漫画”“一组节目”“一组歌曲”などのように三つ以上から成っているもののセットを指す。
「一片」は「いっぺん」と「ひとひら」の二つの読み方があるが、「いっぺん」の意味が「ひとひら」の意味を含んでいて、①「ひとひら。ひときれ。」と②「少しばかり。わずか。」の意味を表す。②の場合、打消しとかかり、完全な否定を表す。“一片”は三つの意味がある。(1)薬やパンや木の葉などの薄いものを数え、「一錠」「一切れ」「一枚」などに当たる。(2)広い範囲の地面や水面などを数え、「一面の」「見渡すかぎりの」の意味を表す。(3)景色·音·言葉·気持ちなどを数え、「に満ちている」意味を表す。
「一条」の「前途に一条の活路を見いだす」のような「細長いものの一本。ひとすじ。」の意味と「第一条第3項」のような「箇条書のひとくだり」の意味は中国語と共通しているが、「一条の煙(一缕烟)」「一条の理がある」「一条の光」の言い方は中国語で使われない。“一条烟”はタバコ10個が入る「一カートン」を意味する。「一条」にまた「話が倒産の一条に及ぶ」のように「話題として取り上げられる、ある一つの出来事。…のこと。…の件。」を表せるが、その意味用法は中国語の“一条”にない。ただ中国語で細長いものを数えるとき、いろいろなものに使われる(13)。日本語の「一本」に当たる。
「一張」と“一张”は張ってあるものを数える点では共通しているが、共に数えられるものは「琴」と「弓」だけである。「一張」はその他に、「太鼓」「提灯」「和傘」「蚊帳」を数えるのに用いられるが、中国語ではそれぞれ“一面鼓”“一盏灯笼”“一把日式伞”“一顶蚊帐”と表現する。中国語の“一张”(14)は「ベッド」「テーブル」「椅子」「碁盤」などの面が張ってあるもの、「網」「顔」「紙」「紙で作られた薄いもの」など「張る」と関係のあるものを数えるのに用いられる。
“一幅”と「一幅」は書画の掛け物·軸物·絵画一般·レリーフなどを数える点では一致しているが、中国語では他に、“地图(地図)”“口号(スローガン)”“插图(挿し絵)”“漫画(まんが)”また“蓝图(青写真)”のような言葉を数えるのにも使える。
(73)一幅地图/1枚の地図。
(74)一幅标语/(壁などに張る)スローガン1枚。
(75)加一幅插图/挿し絵を1点入れる。
(76)一幅漫画/一枚の漫画。
(77)描绘一幅蓝图/一 つの青写真を描く。
3.8 意味用法が違う数量詞
「一双」は「屏風」「手袋」などのペアにしか使われないが、“一双”は“眼睛”“鞋”“手”“翅膀”などペアになっているものに使われる。“屏风”のペアは“一对”と言い、“手套”のペアは“一副”と言う。
日本語の「一団」は「(群集の)ひとかたまり。一群。また、一つの仲間。」を意味し、人に使われるのである。“一团”はかたまりとなったものを意味したり、全体的にある状態にあることを比喩的に表現したりする。例えば、
(78)屋内一团漆黑,让人辨不出东南西北/室内は真っ暗 で方角が分からない。
「一籠」と“一笼”はずいぶん違う。「籠」は「竹や籐とう·藺い·柳·針金などの線状のもので編んだり組んだりした器物。」を指し、一見中国語の“笼”と変わらないようであるが、広辞苑の写真とスーパーでの実物を見れば、日本語での「籠」はほとんど蓋がなく、密閉されていないのである。野菜や果物や貝など籠に入れられるものは全部「籠」で数えられる。一方、中国語では“笼”と言えば、必ず蓋がついて、密閉されなければならない。「蒸籠」が代表的なものである。饅頭や小籠包などを数えるのに“笼”を用いる。その他、家禽類などを運ぶとき“铁笼”などを使い、その数量を“笼”で数えることがある。
「一艘」と“一艘”はともに船を数える数量詞であるが、日本語では帆掛け船など小型舟を数えるのに使われ、中国語では大きな船を数えるのに用いられる。古代の中国語では小さい船にも使われたが、大きな船に多用されたのである。今は“航空母舰”“军舰”“客轮”“轮船”“油轮”など大きな船だけを数えるようになった。
「一串」と“一串”は串に刺したものを数える意味が同じであるが、日本語で串に刺すものは「団子」「鰻の蒲焼」などの食物に限るが、中国語では“一串项链(一連のネックレス)”“一串珍珠(一連の真珠)”“一串脚印(一筋の足跡)”“一串葡萄(一房のブドウ)”“一串铜钱(一さしの銅銭)”“一串钥匙(一連の鍵)”“一串子弹(連発される)弾丸”“一串鞭炮(一連の爆竹)”“一串糖葫芦(竹串に刺したサンザシやナツメ,カイドウなどの実)”など具体的なものだけでなく、“一串问题(一連の問題)”のような抽象的なものにも用いられる。
日本語では「座」は「祭神·坐像(仏像)」「里神楽などで、曲の数」「高山」「星座」などを数える語として用いられる。「一座」は「第1の上席。上座。」「同じ座にすわること。同座。同席。」「その座席全体の人。満座。」「能役者·俳優·芸人などの一団体。」などの意味があるが、中国語ほど常用されていないし、多用されていない。中国語では“座”で数えられるもの(15)は基本的には「動けなく安泰である」「落ち着いている」「威勢がある」意味が込められている。後に高い山をも数えるようになったのである。
“一连”は「軍隊の中隊の番号」の他に、副詞として“一连干了五个小时(ぶっ続けに5時間働いた)”“一连刮了两天大风(2日続けて大風が吹いた)”のように「立て続けに」「ぶっ続けに(で)」「連続して」の意味を表す。「一連」は「一連の事件」のように「ひとつながりになっていること。」と、「目刺し、高野豆腐、鎖、真珠のネックレス、干し柿、昆布」などの「ひとつながりになっているもの」を表すのに用いられる。
“一具”は“一具身分不明的尸体(身元不明の死体)”“一具完整的恐龙化石(完全な恐竜の化石)”のように“尸体”“恐龙化石”などにしか用いられないが、日本語では「一具」は「火箸、背広、鎧、狩衣、裃、巾着、装束、印籠、輿、数珠、櫛、鞍、駕籠」などの「器具·衣服·甲冑などの一組。ひとそろい。一式。」を表す。
「一抹」は「一抹の不安」のように使われ、「ほんの少し。ほんのわずかなこと。」の意味を表すが、中国語の“一丝”に当たるが、“一抹”は文学的な雅語で、“一抹月光”“一抹夕阳”“一抹阳光”“一抹微风”“一抹红晕”などのように「一筋の」「ほのかな」の意味を表す。
「名」と“名”は中日とも人を数えるのに使われるが、日本語では丁寧な言い方で、尊敬の意味が込められているので、中国語の“位”に当たる。中国語では“名”は中性的な量詞で、数えられる人の範囲が日本語よりずっと広い。例えば、“学者”“优秀的教师”などはもちろん、“嫌疑犯”“犯人”“奸细”“贼将”“贼党”“恶霸”“通缉犯”“凶手”“恐怖分子”などにも使われる。また他人だけでなく、“从小立志要当一名建筑师”のように、将来の自分の職業にも用いられる。
“升”は容積の単位で、ずっと昔から使われてきたが、中国の辞書に古代の具体的な容積の数字は示されていない。今は西洋の容積単位に合わせて、“一升”は「1リットル」を表す。一方、日本語では「尺貫法で、容積を表す単位。一升は一〇合で、約一·八リットル。」を指すので、中国語と違うのである。
“斤”の表す重さは時代によって違う。“半斤八两”から分かるように、800グラムを指す時期もあったが、現代に入って、西洋のキログラムに合わせて、500グラムに規定された。日本語ではまだ使われる場合によって、重さの意味が違う。「二斤の牛肉」の場合、「一斤」は「約六〇〇グラム」であるが、食パンの塊を数えるとき、一斤は「三五〇~四〇〇グラム」である。
“一里”は古代では“300步”か“360步”を指していたが、今は西洋のキロメートルに合わせて、500メートルに変えられた。日本語では「一里」は「3927.27メートル」を指すので、中国語と異なっているのである。
「十二支」は「暦法で、子·丑·寅·卯·辰·巳·午·未·申·酉· 戌·亥の称。中国で十二宮のおのおのに獣をあてたのに基づくという。すなわち、子は鼠、丑は牛、寅は虎、卯は兎、辰は竜、巳は蛇、午は馬、未は羊、申は猿、酉は鶏、戌は犬、亥は猪。そのおのおのを時刻および方角の名とする。」を指し、中国語で“十二生肖”と言う。中国語で“十二支”は数量詞で、“日本有十二支职业棒球队”のようにスポーツのチームを数えるのに使われる。
「三冠王」は「野球で、1シーズンに打率·打点·本塁打数の三部門の成績がいずれも1位となった打者。勝率·勝利数·防御率がいずれも1位になった投手をいうこともある。」と「特定の分野の三部門で、定められた期間内に1位となった人。」の二つの意味を表し、野球や囲碁などの分野の個人にしか使われないが、中国語では“三冠王”は囲碁やスポーツ全般の個人、団体チーム(特にサッカーチーム)に用いられる。
4. 中国語の“个”と日本語の「個」「つ」
中国語で“个”は最もよく使われている量詞である。何杰(2008)は“‘个’是一个特殊的量词,就其应用范围而言,有人称它为万能量词。(“个”は一つの特殊な量詞で、その応用範囲について言えば、万能量詞と呼ぶ人もいる。)”“爸爸、老师、坏蛋、罪犯、儿童”(16)のような人、“本子、花瓶、小刀、软盘”のようなもの、“竹子、草籽、藤萝、芦苇”のような植物、“猴子、狗熊、乌龟、娃娃鱼”のような動物、“闪电、雷鸣、山洪、地震”のような自然現象、“理想、追求、主意、条款”のような抽象的なもの、専用の量詞がない名詞はほとんど“个”で数えられるが、これらの例は日本語でほとんど「個」で数えることができない。
日本語の「個」と比べて、中国語の“个”は使用範囲が遥かに広い。日本語で中国語と同じく「個」で数えられる名詞は次のとおりである。
みかん 西瓜 柿 リンゴ レモン 梅干し 種子 分子
化合物 電極 塩素 電子 陽子 中性子 分子 原子
原子核 素粒子 細胞 恒星 衛星 鼎 穴 障害物 車輪
軸輪 珠 うす 鈴 円盤 輪 環 ローラー マイクロフォン
キー チップコイン メダル ボール 分隊 師団連隊 中隊
大隊 商品 茶碗 卵 パン 肺臓リンパ節 駒 さいころ
石 碁石 弾丸 貝殻 葉緑体 楽器 印鑑 音 和音 拍子
区画 点 文字 小黒点 尾紋 斑紋 空き缶 台風 数
数値 座標 実数 数量 IPアドレス 煩悩 物権 前提
国家 人間 人格 行為 要素 社会現象
日本語では「個」は「煩悩」「前提」「要素」などの抽象名詞に使えるが、その数は非常に少ないし、「一個の国家機関」「一個の人間の価値」「一個の独立した人間」「一個の人格」「一個の全体を形作る」「一個の社会現象」などのように改まった場合の強調的な表現や堅い書き言葉としてしか使われない。日本語で台風を数えるとき、「台風は通年30個発生する」のように「個」を使うが、中国語では“个”より、“场、次”などの量詞が多用される。
日本語で「個」が使われ、中国語で他の専用量詞が使われる例は少ないが、次のものが挙げられる。
犯罪 罪 戦闘 辺 水濠 骨 軟骨 胸骨 椎骨 白い花
小花 石けん
日本語で「個」で数えるもの(17)はほとんど「つ」でも数えることができます。中国語で“个”で数えられるものの多くは日本語で「つ」で数えられる(18)。
「星」「細菌」などの同形語を数える量詞の比較は簡単にできるが、同形語ではない場合、一つの言葉が多数の訳語に対応しているので、数量詞の比較が非常に複雑になってしまう。例えば、中国語の“摆设”は日本語に訳すと、「置物」「飾り物」などの訳語が使えるが、しかし、「置物」と「飾り物」の量詞はそれぞれ「個、点」と「つ、点」なので、微妙に違っている。また“错误”は「ミス」「過ち」「間違い」などに訳せるが、「ミス」と「過ち」は「つ」「度」で数えるが、「間違い」は「つ」と「個」で数えられる。逆に日本語から中国語に訳された時に同じような問題が起こる。中日数量詞の比較の難しさがここにもある。
中国語で“个”で数えられ、日本語の訳語に「個」も「つ」も使われない言葉(19)も多い。中国語で“个”の他に、別の量詞も使えるが、ここで問題にしないことにする。( )内は訳語と量詞で、「/」で区分している。例えば、
扳子(スパナ/本レンチ/丁·本)报社(新聞社/社)匕首(短剣·匕
首/本)招牌(看板(20)/枚·面)照相机(カメラ/台·点)证件(証明
書/通·枚)
中国語の“扳子”は日本語で種類によって、訳語が違い、数える量詞も違う。「スパナ」は「本」で数えるが、「レンチ」は「丁」も「本」も使える。“证件”は普通「証明書」と訳されているが、“证件”は一枚の紙ではなく、一冊の小さいノートのようなもので、「証明書」では訳しきれないと思われる。
中国語では“个”はほとんど何でも数えられるが、日本語に対応する訳語がなかったり、もともと日本語で数えられなかったりする言葉もある。次のような例が挙げられる。
安排 按语 暗礁 布告 差距 创举 胆子 担子 关头
郊区 农村 奇闻 蛀虫
“安排”は中国語で、「手配する。手はずを整える。段取りをつける。計画する」などの意味を表す動詞であるが、“一个安排”になると、日本語に翻訳しにくくなってしまう。
“创举”は日本語で「創造的な試み」で、一つしかないので、数える必要がない。“奇闻”は日本語で「奇聞」「珍聞」で、話題に上る際、それしかないので、数える必要もない。“郊区”“农村”はもともと可算名詞ではないが、“一个”の修飾を受けると、「ある」という不特定の意味を表す。“暗礁”“布告”などは普通日本語では数えないし、“差距”“胆子”“关头”などの抽象的な言葉は数えようがないが、中国語で“一个”の修飾を受けられる。“蛀虫”に当たる日本語がないので、「木·衣類·本·穀物などにつく虫の総称」と意訳されるしかない。中国語でさらに「組織の内部にあって全体を害する人」という比喩的な意味もあるので、“一个蛀虫”は日本語に訳しにくい。
5. おわりに
中国語の常用「量詞」は日本語よりずっと多いが、中日同形語としての数量詞が少なくない。
中国語母語話者の「一」を含む数量詞の過剰使用の一要因は中日文脈に対する理解の違いである。日本語の文脈に「一」が含まれている点を学習者にしっかりと理解してもらう必要がある。
日本語の数量表現は漢数字の他に、外来語や和語など言葉の数が多いし、表現形式も豊富である。日本語の数量詞の入る慣用句などの表現が中国語に意訳されたとき、訳文に数量詞が使われない場合が少なくない。逆に中国語の簡潔な表現が日本語に訳される時、訳文に数量詞が増やされる可能性もある。
中日同形語である中日数量詞は基本的な意味が同じであるが、使われる対象が全く違ったり、どちらか一方が他方より意味用法が多かったり使用範囲が広かったりしているので、複雑な対応関係をなしている。一つ一つの意味用法の違いを明確にして、学習者に理解してもらい、しっかり把握してもらうしかない。特に日本語では名詞や序数詞やサ変動詞を兼ねたりしている数量詞の用法に注意が必要である。また中国語で多用される動量詞、日本語に対応する訳語がない言葉、もともと日本語で数えられない言葉にも、中国語で量詞が使われるので、日本語に訳すとき、意訳するしかない。
注
(1)中国語では品詞は一般的に“名词、动词、形容词、数词、量词、代词、副词、介词、连词、助词、感叹词、拟声词”の十二種類に分類されている。日本語では品詞の分類は中国語と違う。以下『国語学研究辞典』と『国語学辞典』及び『国語学大辞典』の「数詞」や「数量詞」に関する説明を引用する。
「五つ」「四枚」などの数詞は事物の数量を表す語と合わせて数量詞と呼ばれることもある。また、数詞という用語は、例えば「四枚」では、助数詞「枚」の前に現れる「四」を指すのに使われる場合もある。「五冊」「五メートル」のような数量詞は、数詞(「五」と序数詞「冊」「メートル」から構成されている。『国語学研究辞典』
数詞 体言の一種。数によって、数量や順序を表わす語。西洋文典にnumeralという品詞があるので、明治以来独立の一品詞として、あるいは名詞の一部として説かれたが、近来は独立させないのが普通である。
『国語学辞典』
数詞:西洋文法でいうnumeralの訳語であろうが、日本文法で数詞という用語が一般に使われたのは大槻文彦の『広日本文典』以後という。狭義では、数の概念を表現する語であって、英語のone,two,threeや日本語の「イチ」「ニ」「サン」などがこれにあたる。広義には、事物の数量的側面を表現するもので、「ヒトリ」「二年」「三冊」などである。 『国語学大辞典』
(2)飯田朝子(2004)の『数え方の辞典』による。
(3)何杰(2008)の統計によれば、“现代汉语常用量词有600多个。”
(4)日本語独特な助数詞や名詞か名詞の一部分を助数詞にするものとして次の例が挙げられる。
握 案 基 機 軒 鍵 限 時間 時限 膳 坪 艇 便 俵 羽
雨 岳 河川 規定 項目 個体 作品 樹 床 体 段落 単位
段階 店舗 度数
日本語にない量詞として次のものが挙げられる。
中国語独特な量詞は次のものが挙げられる。
帮 丛 出 处 撮 沓 洞 垛 簇 顶 顿 杆 秆 根 钩 股
挂 盒 伙 剂 届 棵 孔 篮 溜 路 绺 排 盆 起 圈 天
趟 贴 摞 窠 坑 批 捆 所 套 挑 洼 弯 丸 汪 窝 旬
盏 支 炷 幢 宗
(5)本稿の例文は出典を明示しない限り、全部『講談社日中辞典』と『講談社中日辞典』から引用している。
(6)数量詞などについている下線は全部筆者が引いたものである。
(7)意味用法が同じである数量詞を含む言葉と例文はまた次のものが挙げられる。
三重唱 三重奏 四季 四肢 四分音符 四面体 五線譜 六面体
六角形 八角形 三周年 高3 3分の2
3画の字/三画的字。
3次方程式の解法/三次方程的解法。
原液を水で3倍にうすめて用いる/将原液用水兑成三倍后使用。
三角関係を清算する/了结三角关系。
五穀豊穣を祈祷する/祈祷五谷丰登。
小数点以下を 四捨五入する/小数点以下四舍五入。
教団は現在では5派に分流している/这个宗教团体现在分成了五派。
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明日は気温が3度ほど上がるでしょう/明天气温会高三度左右。
医師はその子の脚の傷を3針縫った/医生给那个孩子脚上的伤口缝了三针。
世界の3大宗教は仏教·キリスト教·イスラム教だ/世界三大宗教是佛教、
基督教、伊斯兰教。
憲法第9条/宪法第九条。
契約書の第8条/合同书的第八条。
この全集は第3巻が欠けている/这部全集缺了第三卷。
この劇の第3幕は格別感動的だった/这个戏第三幕特别感动人。
契約書第二条第一項,同じく 第四項に基づく/依据合同第二条第一项及同条第四项。
(8)『広辞苑』の「五官」に関する説明を引用した。
(9)日本語では数量詞が使われていないが、中国語訳で数量詞が増やされた例として、また次のものが挙げられる。
原稿を複写しておく/把原稿复印一份。
壁に絵がかけてある/墙上挂着一张画儿。
大きな魚を釣り上げた/钓上来一条大鱼。
トラックが子どもを轢いた/卡车轧了一个孩子。
昨日服を新調した/昨天新做了一件〔套〕衣服。
東西に大きな道路が走っている/东西向有一条大道。
ゆうべ変な夢を見た/昨天夜里我做了一个古怪的梦。
学校への通り道に本屋がある/上学的路上有一家书店。
眺めのいい部屋をお願いします/我想要一间风景好的房间。
大きなコイがばしゃんと跳ねた/一条大鲤鱼吧唧一声跃出水面。
クラスの男の子にあだ名をつけた/给一个同班男生起了个外号
ハエが1匹部屋の中を飛び回っている/一只苍蝇在房间里飞来飞去。
副業として喫茶店を経営している/作为第二职业,我经营着一个咖啡店。
どかんとものすごい音がして破片が飛び散った/轰地一声巨响,碎片四下纷飞。
デッドヒートの末,ドイツチームが優勝した/经过一场激烈竞争,德国队获得了大奖。
大型の台風だったが,我が家は大した被害もなくすんだ/尽管是一场巨大台风,但我家没受到什么灾害。
旁边就是一条商业街,买东西极其方便/すぐそばが商店街だから,買い物はとても便利だ。
趣味と特技を生かして有意義な老後を送る/充分发挥自己的兴趣和特长,度过一个有意义的晚年。
長女の誕生はわが家にとっては特筆すべき大事件であった/大女儿的出生对我们家来说是一件值得大书特书的事情。
(10)その他に中国語で数量詞が使われない例文は次のものがある。
二の腕/上臂。
二枚目/美男子;小生。
三枚目/丑角。
三下り半/休书。
なくて 七癖/什么人都多少有点儿毛病。
子は三界の首枷/孩子是永远的累赘。
いま私は 一身の栄達など考える余裕はない/我现在没有余力考虑自己的前程。
あいつはだれでも 舌先三寸で言いくるめる/他对谁都花言巧语,蒙骗人
両チームともに 一歩も譲らず鍔迫り合いを演じた/两队互不相让,展开了一场激战。
あの俳優の演技は 一点の非の打ちどころもない/那个男演员的演技没有丝毫可以挑剔的地方。
家財道具を 二束三文で売り払った/廉价抛售掉了所有的家具。
憤慨した被害者が相手方に談じ込む 一幕もあり事態は紛糾した/事情越闹越大,被激怒的受害者甚至站出来向对方提出抗议。
英語では私は王さんに一目も 二目も置いている/论英语我很佩服小王。
もう二度とあの人に会えないと思うと悲しい/想到再也见不到他了就感到十分难过。
妻はこれに懲りてもう 二度と株には手を出さないだろう/妻子炒股吃够了亏,谅她再不敢炒了吧。
(11)趙暁曦(2006)は「「種」、「品目」、「項目」のような中国語の種類量詞に相当する助数詞が存在している。しかし、「一种滋味」(味わい)、「一种感情」(感情)、「一种思想」(思想)、「一种情緒」(情緒)など抽象名詞の前に使われていない。」と述べているが、「一種の味わい」「一種の思想」「一種の雰囲気」など抽象的な名詞にも使われるが、中国語ほど多用されない。例えば、次の各文では日本語に「一種」が使われていないが、中国語の訳文で“一种”が使われている。
奇異な感じがする/有一种奇异的感觉。
運動した後は爽やかな気分になる/运动后有一种轻松的爽快感。
そんなことはまったく贅沢な悩みだ/这种烦恼可真是一种奢侈。
ふと猜疑心が頭を擡げてきた/忽然一种疑念油然而升。
あの画家はどこか人を寄せ付けない雰囲気をもっている/那个画家给人一种难以接近的感觉。
話を聞いているうちに遣り場のない怒りがこみ上げてきた/听着听着一种无从发泄的愤怒涌上了心头。
(12)「第六感」「第六巻」「第一位」「第一回」などの序数を表す言葉は中日でほとんど同じである。日本語の「第六感」の意味を表す言葉にまた「勘」がある。
勘をはたらかす/调动第六感。
妻は動物的な 勘の持ち主だ/妻子的第六感很强。
また中国語で「第」がつかなくても序数を表す数量詞もある。次の例がある。
まもなく空港の第2期工事が起工される/机场二期工程即将开工。
(13)中国語で“一条”で数えられるものとして次の言葉がある。
①細長いもの
裤子 裙子 床单 毯子 被子 被面 被里 棉被 毛毯 项链 毛巾
围巾 领带 肥皂 香烟 绳子 带子 口袋 麻袋 板凳 扁担 鞭子
电线 黄瓜 丝瓜 苦瓜 船 渔船 游船 游艇 帆船 滑梯 灯丝
波浪 大坝 根须 彩虹 长长的影子 缝儿 裂缝 裂纹 口子 轨迹
裂痕 条幅 横幅 火山口 山脉 峡谷 海岭 长堤 海峡 山岭
裂谷 小径 街 路 马路 公路 山间小路 铁路 小巷 胡同
弄堂 走廊 隧道 林荫大道 交通要道 跑道 柏油路 退路
死路 高速公路 弯路 大动脉 血路 生路 盘山公路 旅游线路
地下铁道 轨道 河流 河 江 沟 渠 水渠 小溪 运河 港湾
支流 瀑布 冰川 护城河 横线 直线 白线 曲线 线段 航线
平行线 铅垂线 分数线 分界线 健康热线 直飞航线 高压电线
生产线 产业链 国际日期变更线 火红的铁流 长长的“火龙”
输水管道 水管 海底电缆 光缆 光带 玉带 红绸带 降水带
低压槽降雨带 传送带 林带 绿化带 带状的“绿色走廊” 缓冲地带
沙障 绿色屏障竹篱笆 鱼 鳄鱼 金鱼 鲇鱼 河豚鱼 泥鳅 蚯蚓
长虫 蛇 龙 尾巴 狗 狼
②人体
长龙 汉子 光棍 人命 性命 胳膊 腿 肋骨 血管 舌头 辫子
眉毛 皱纹 好嗓子 心 视线 伤痕 鼻涕
③抽象的な事物。
计策 妙计 路线 意见 建议 罪状 新闻 消息 标语 短信 广告
捷径 出路 死路 求学之路 新思路 人生道路 鸿沟 谜语 经验
标准 纽带 线索 证据 法案 刑法 规定 规矩 措施 指示 纪律
禁令 规律 定律 真理 定理 原理 原则 理由
(14)中国語で“张”で数えるものは以下に並べておく。
床 吊床 椅子 桌子 小圆桌 饭桌 写字台 棋盘 网 蛛网 脸
紙などの薄いものを数え、日本語の「枚」に当たる。
纸 报纸 白纸 糖纸 纸条 废纸 告示 表 元素周期表
地质年代表 地图 画 古画 风景画 照片 合影 集体照 名片
5块 纸币 票 火车票 电影票 邮票 入场券 支票 欠帐单
高中毕业证 毕业文凭 资格证明书 奖状 羊皮 竹帘 圆盘磁盘
唱片 专辑 VCD光碟 银行卡
(15)“座”で数えられるのは次のものである。
①山林、島嶼など自然界のものに用いる。
火山 名山 山冈 高土丘 峻岭 高峰 险峰 森林 园林 大岛
小岛 半岛 海岛暗礁 山洞 深坑 金矿 矿山
②町、村、学校、工場などが密集している場所に用いる。
城市 城堡 池城 城廓 孤城 村镇 村寨 村庄 避暑山庄 工厂
③各種の建物に用いる。
建筑物 宫殿 公馆 别墅 剧院 旅馆 茅庵 大宅院 寺庙 古庙
古刹 古寺 土地庙 观 龙王庙 观音堂 祠堂 关 草堂 破窑
洞府 牢 花园 亭子 凉亭 桥梁 小桥 独木桥 浮桥 水库 房子
楼房 高楼 楼阁 大厦 摩天大楼 电台 酒楼 酒肆 茶馆 当铺
饭店 牌坊 坟墓 军营 阵势 要塞 营寨 营盘 发电站
④石碑、塔、彫刻像、鐘、炉、大砲などに用いる。
石碑 纪念碑 佛塔 宝塔 高塔 铜像 塑像 佛像 石雕 玉佛
浮屠 神龛 大钟 铁炉 高炉大炮 重炮 古鼎 门楼 界牌 牌楼
石牌坊 丰碑 牌额 障壁 闸 关隘 井 台 炮台 戏台 高台
擂台 点将台 琴台 神坛 大圆门 宫门 敞厅
(16)中国語で“个”は人を数えるときも幅広く使われる。例えば、一人しかいない「パパ」「ママ」「市長」などにも使われ、省略できない場合が多い。“个”で数えられる人である名詞は次の例が挙げられる。
阿姨 爸爸 班长 班子 帮手 榜样 保育员 保姆 博士 部长
乘客 大臣 大夫 代表 导演 敌人 店员 董事 儿女 恩人 房东
飞行员 妇女 干部 歌手 歌星 工人 姑娘 观众 官员 海员
和尚 记者 教员 警察 客人 劳动力 老师 烈士 领袖 流氓
律师 盲人 模范 牧民 奶奶 难民 男人 女人 偶像 朋友
骗子 强盗 婆婆 仆人 侨胞 侨民 亲戚 傻子 师傅 士兵 市民
市长 孙子 同学 同志 外宾 委员 文人 媳妇 先生 仙女 选民
学生 医生 移民 游人 贼 战士 助手 总统 总理 祖先 祖母
罪犯 作家 作者
(17)中日とも“个”(「個」)で数えられる物体は次のものがある。ただ、他の量詞でも数えられるが、ここで問題にしない。( )内は中国語に対する
日訳である。
把手(取っ手) 包子(饅頭)
杯子(グラス、コップ) 刀片(剃刀の刃)
灯(電灯) 灯泡(電球)
笛子(笛) 纽扣电池(ボタン型電池)
冬瓜(冬瓜) 背包(背囊、リュックサック)
冰淇淋(アイスクリーム) 病毒(ウイルス)
草帽(麦わら帽子) 耳机(イヤホン)
钢盔(鉄帽、戦闘用ヘルメット) 缸(かめ)
鼓(太鼓) 罐头(缶詰、本瓶詰め)
花盆(植木鉢) 徽章(バッジ)
馒头(マントー) 金鱼缸(金魚鉢)
雷(雷) 梨(梨)
凉鞋(サンダル) 手铐(手錠)
萝卜(かぶ、ラディッシュ) 南瓜(南瓜)
闹钟(目覚まし時計) 暖瓶(魔法瓶、ポット)
盘子(皿) 乒乓球(ピンポン玉、卓球ボール)
容器(容器) 塞子(栓)
筛子(ふるい) 手表(腕時計)
手镯(腕輪、ブレスレット) 刷子(ブラシ)
水泵(水汲みポンプ) 坛子(つぼ、かめ)
桶(おけ) 土豆(ジャガイモ)
西红柿(トマト) 椅子(椅子)
枣儿(ナツメ) 炸弹(爆弾)
枕头(枕) 磁铁(マグネット磁石)
宝贝(宝物) 标本(標本)
茶壶(急須) 窗(窓)
符号(符号) 锅(鍋)
核桃(くるみ) 疙瘩(出来物、はれもの、しこり)
壶(ポット、やかん、急須) 箩筐(笊、かご)
扣子、钮扣(ボタン) 篮子(籠)
礼物(贈り物、プレゼント) 莲子(蓮の実)
零件(部品) 脑子(脳)
脑袋(頭) 盆(ボウル、鉢、洗面器)
软件(ソフトウエア) 桃子(桃)
图章(判、印鑑) 玩具(おもちゃ)
细菌(細菌) 星(星)
眼睛(目) 样品(サンプル、見本)
肿瘤(腫瘍) 足球(サッカーボール)
(18)中国語で“个”で数えられ、日本語で「個」が使えず、「つ」が使える言葉
安慰(慰め) 暗语(隠語、合い言葉)
案子(事件) 奥秘(はかりがたいなぞ)
疤(きず、傷跡) 把柄(弱み、弱点)
办法(方法) 办公室(事務室)
宝库(宝庫) 堡垒(とりで)
报告(報告) 抱负(抱負)
悲剧(悲劇) 备忘录(備忘録)
背景(背景) 本事(能力、技量、腕、能力、技量)
本性(本性) 比赛(試合)
比喻(比喩) 弊病(弊害、悪弊、デメリット、欠点)
壁橱(クローゼット) 标兵(模範、手本)
标签(ラベル) 标题(表題、タイトル、見出し)
标准(規格、基準、標準) 表情(表情)
部队(部隊) 菜园(菜園)
菜单(メニュー) 草稿(草稿)
厕所(トイレ) 侧面(側面)
插曲(エピソード、挿話) 长处(長所)
常识(常識) 车站(駅、バス停)
称号(称号) 成分·成份(成分)
城市(都市) 传统(伝統)
词·词语(ワード) 大海(海)
岛(島) 地方(ところ、場所)
典型(典型) 定理(定理)
东西(もの) 队伍(軍隊·部隊、隊列、集団)
耳朵(耳) 防线(防御線)
废墟(廃墟) 标点符号(句読点)
概念(概念) 工程(工事、プロジェクト)
产业(産業) 公式(公式)
公园(公園) 公司(会社)
功能(機能、技能) 关口(関所、関、正念場)
观点(見方、見解、観点) 国籍(国籍)
含义(意味) 花镜(老眼鏡)
花篮(花籠) 花招(術策)
会议(会議) 祸(災い、災難)
基地(基地) 机会(機会、チャンス)
机构(機構、仕組み、メカニズム、組織、団体)
机密(機密)
机关(機関、官庁、役所、しかけ、装置、計略、策略)
计划(計画) 肩膀(肩)
焦点(焦点) 教室(教室)
经验(経験) 俱乐部(サークル)
看法(見方、考え) 空白(空白)
口袋(ポケット) 口号(スローガン)
口子(傷口、裂け目、割れ目)
矿井(立坑) 困难(困難)
礼堂(講堂、ホール) 理由(理由)
立交桥(立体交差) 脸盆(洗面器)
路线(路線) 论点(論点)
码头(波止場、埠頭) 毛病(故障、誤り、失敗、欠点、癖、病気)
矛盾(矛盾) 门市部(販売店)
梦(夢) 面孔(顔つき)
民族(民族) 名称(名称)
名字(姓名、名前、名称) 命令(命令)
目标(目標) 目录(目録)
牧场(牧場) 难关(難関)
派别(分派、流派、派閥) 派出所(交番)
奇迹(奇跡) 企业(企業)
癖好(癖) 坡(坂)
窍门(秘訣、こつ、勘どころ) 情况(状況)
曲子(曲) 拳头(こぶし、げんこつ)
任务(任務) 森林(森)
山谷(谷) 商标(銘柄)
声音(音、声、音声) 时间(時間)
事业(事業) 嗜好(道楽)
思想(思想) 设备(設備)
提纲(要綱、レジュメ) 题目(題目、テーマ)
体系(体系) 条件(条件)
庭院(庭) 团体(団体)
托儿所(託児所) 图案(図案)
危险(危険) 危害(危害)
文件夹(フォルダ) 问题(問題)
武器(武器)
舞蹈(踊り、舞踏、舞踊、ダンス) 误差(誤差)
席位(議席) 习惯(習慣、慣習)
喜事(めでたい事、慶事) 夏季(夏、夏季)
消息(ニュース、情報) 协定(協定)
心(心)
信箱(郵便ポスト、郵便受け、メールボックス)
研讨会(シンポジウム) 演说(演説)
宴会(宴会) 谚语(ことわざ)
样子(様子) 钥匙(鍵)
野心(野心) 仪式(儀式)
义务(義務) 议案(議案)
意见(意見) 意思(意思)
因素(要素、要因) 影子(影)
鱼网(漁網) 园林(園林)
原则(原則) 障碍(障害)
争议(争議) 政策(政策)
政府(政府) 政权(政権)
职务(職務) 志愿(志、抱負、願望)
制度(制度) 职业(職業)
主张(主張) 准则(準則)
葬礼(葬儀) 字母(アルファベット、ローマ字)
总结(総括) 祖国(祖国)
真理(真理) 招待会(歓迎会、レセプション)
阵地(陣地) 阵营(陣営)
座右铭(座右の銘)
(19)中国語で“个”で数えられ、日本語の訳語に「個」も「つ」も使われない言葉板(板/枚) 刨子(かんな/挺·丁)
爆竹·鞭炮(爆竹/本) 碑(石碑/基)
被子(布団/枚·組·重ね) 被套(布団カバー/枚)
本子(ノート/冊) 壁画(壁画/面·枚·点)
鞭子(鞭/本) 辫子(おさげ/本)
便条(メモ/枚·片) 标语(スローガン/言げん ·言こと ·句)
冰箱(冷蔵庫/台) 宾馆(ホテル/軒··
博物馆(博物館/軒·館) 彩旗(彩色旗·五色の旗/枚·本)
餐车(食堂車/両)
餐厅(料理店·レストラン/軒·店舗·店)
仓库(倉庫/··) 苍蝇(蠅/匹)
草图(下書き·略図·下絵/枚) 叉子(フォーク/本)
茶馆(茶屋/軒·店) 蝉(セミ/匹)
铲子(シャベル·スコップ/本) 场面(場面·シーン/カット·幕)
车厢(列車の車両/両) 尺(物差し/本)
翅膀(翅·羽/枚·本·片 翼/·枚)
抽屉(引き出し/杯·段·本) 橱窗(ショーウインドー/面)
处方(処方箋/通·枚) 传单(ビラ/枚)
窗帘(カーテン/枚·点·張·張り) 床(ベッド/台·床
锤子(金槌·ハンマー/挺·丁·本) 答案(答え·解答·答案/枚)
大雁(雁/羽) 大学(大学/校·大学)
大衣(外套/着 オーバーコート/着·枚)
担架(担架/台·本) 单据(伝票·領収書/枚·通)
掸子(はたき/本) 刀(刃物/本)
导弹(ミサイル/発·基) 电车(電車/両·台·本)
电影(映画/本·作·作品) 碉堡(トーチカ/基)
雕塑(彫像/体·躯·口) 钉子(釘/本)
动物(動物/匹·頭) 斗笠(笠/枚·蓋)
毒蛇(毒蛇/匹·本) 鹅(鵞鳥/羽)
蛾子(ガ/匹) 鳄鱼(鰐/匹·頭)
蚊子(蚊/匹) 稿子(原稿/枚·本·点)
胳膊(腕/本) 工厂(工場/軒·棟むね ··箇所)
狗(犬/匹·頭) 拐棍(ステッキ·杖/本)
汉字(漢字/文字·字) 黑板(黒板/枚·面)
猴子(猿/匹·頭) 狐狸(狐/匹)
蝴蝶(蝶/匹·頭·羽) 花瓣(花びら/枚·片へん ·)
机床(工作機械·旋盤/台) 鸡(鶏/羽)
轿车(乗用車/台) 空调(エアコン/台·基)
孔雀(孔雀/羽) 喇叭(ラッパ/本拡声器/台)
老虎(虎/頭) 老鼠(鼠/匹)
帘子(すだれ·カーテン/枚) 链子(チェーン/本鎖/本·連)
楼房(ビル/棟·軒·本) 炉子(ストーブ·こんろ/台)
轮船(汽船/隻·艘) 骆驼(駱駝/頭)
马达(モーター/基·台) 谜语(なぞなぞ/問)
庙(廟/基·宇) 民歌(民謡/曲)
蘑菇(キノコ/本·株·枚) 墓(お墓/基)
鸟(鳥/羽·匹) 拍子(ラケット·ハエたたき/本)
螃蟹(蟹/匹) 琵琶(琵琶/面)
瓶子(空き瓶/本) 铺子·商店(商店/軒·店·店舗)
尸体(死骸·死体/体) 水库(ダム/基·箇所)
商场(デパート/軒/店/店舗 スーパーマーケット/軒·店)
水塔(給水塔/基) 隧道(トンネル/本·箇所)
宿舍(宿舎/軒··) 塑像(塑像/体)
台灯(電気スタンド/台·灯) 加油站(ガソリンスタンド/軒·店)
梯子(梯子/台·本·挺) 亭子(東屋/軒·棟·宇)
兔子(兎/匹·羽) 書類/枚·部·綴り)
文件(文書/通·枚·部 洗衣机(洗濯機/台)
喜鹊(カササギ/羽) 虾(エビ/匹·尾·本)
学校(学校/校) 鸭子(アヒル/匹)
牙刷(歯ブラシ/本) 牙齿(歯/本)
燕子(燕/羽·匹) 药方(処方箋/通·枚)
药丸(丸薬/錠·粒) 医院(病院/軒·院)
影片(映画/本·作) 证书(証書·証明書/通·枚)
指头(指/本· 走廊(廊下/本)
座位(座席/席) 皱纹(しわ/筋·本)
嘴巴(びんた/回)
(20)飯田朝子(2004)は「立体的な看板の場合、「3面の看板」のように「面」で数えることもあります。」と説明しているが、「面」は看板の面を数える言葉で、看板を数える量詞ではない。
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