1. 国家の三要素:国民·領域·主権
国民とは国家を構成するメンバー、領域とは領土·領海·領空からなる主権の及ぶエリア、主権とは領域と国民を統治し、外国からの干渉を受けない力を指す。領海の範囲については12海里で、排他的経済水域(EEZ)[1]は200海里(1海里=1852m)。
2. 国家の起源
国家の起源には2つの重要な説がある。一つ目は国家は神によって造られ、君主の権力は神から授けられたものであるとする王権神授説。そして二つ目は人民の合意による契約によって国家が成立する社会契約説である(ホッブズ、ロック、ルソー)。
3. 国家の発展の段階
★小さな政府:政府の役割を最小限にし、経済活動に対して自由放任政策を採る。
★大きな政府:政府が積極的に経済に介入し、経済の安定を図る国家。
統治者が議会の制定した法律によって統治を行われなければならないとする原理である。これは,統治される者だけでなく統治する者も法に従うべきであるということを意味する。例えばイギリスではマグナ·カルタ(大憲章)、権利章典等で国王の権力が次々に制限され、法の支配が成立した。(立憲政治:法=憲法に基づいて政治を行うこと)
1. 自然権と自然法の定義について
自然法:法律の条文以前に存在する、人間が人間であるゆえに守るべき法。時や場所をこえて普遍的に効力を持つとされる。この自然法に反する法律は一切無効である。
自然権:人間が人間であるゆえに、天から与えられている譲渡できない権利。自然法によって保証されている。具体的には、生命権、自由権、財産権が挙げられる。
2. 市民革命の定義について
自然法思想や社会契約説が浸透し、新興の産業資本家(ブルジョワジー)を主体とする市民階級が封建権力や絶対主義権力を倒した政治変革。封建的秩序を解体し、議会制の確立、身分制の廃止、営業の自由などを代表とする近代市民社会を確立させ、資本主義社会の成立の基礎となった。
三つの市民革命
★市民革命を理論的に支えた思想家
★権力の分立を主張した代表的な人物は二人いる。まずロックは権力を国王(執行)と議会(立法)に分けるべきだと主張した。そしてモンテスキュー(1689年生まれ)は三権分立「立法権、行政権、司法権」を主張し、『法の精神』を著した。(アメリカ合衆国憲法は三権分立の考え方を取り入れている。)
世界で最初の民主主義の出現は2500年前のアテネだと言われている。選挙などはなかったものの、当時は広場にすべての市民が集まって政治を議論する権利が認められていた。重要な政策についてはみんなが手を挙げて、多数決で決めていた。政治参加に貧富などで市民間で差別をすることはなかったものの、女性と奴隷の参加は認められなかった。
1. 人権思想の発達に関する重要文書
2. 政治権利(政治参加する権利)を得るための戦い
3. 社会的権利(福祉を受け、文化的に生きる権利)を得るための戦い
★世界で初めての男子普通選挙が実現したのは1848年のフランスだったが、その後19世紀末にはニュージーランドで女性投票権が認められた。そしてドイツの1919年ワイマール憲法では世界に先駆けて完全普通選挙(男女平等の選挙)を憲法に盛り込んだ。
イギリスは議院内閣制、アメリカは大統領制の発祥地として知られ、両国の政治制度について、理解をしておく必要がある。
①議院内閣制:内閣が議会(下院)の信任に基づいて成立し、議会に対して連帯責任を負う制度。議会(立法権)が三権の中で優位にある。大統領制ほど厳格な三権分立ではない(日本と同じ)
②不文憲法:慣例法国家のイギリスでは、成文した憲法はなく、マグナ·カルタ、権利章典等が憲法に当たる(憲法典として一つにまとまっていない)(日本と違う)
③立憲君主制:国王は国家の元首。君臨すれども統治せず(日本と同じ)
④上院は非民選の貴族院で、ほとんど権力はなく、下院に絶対的な優越がある(日本と違う)
⑤下院の任期は5年である(日本と違う)
⑥上院の貴族が最高法院の裁判官を務め、最高法院はほとんど権力がない(日本と違う)(ただし、2009年にイギリスで新しい最高裁判所ができた)
⑦保守党と労働党による二大政党制であり、野党は影の内閣を組織し、次の政権担当に備える(日本と違う)
⑧議会は内閣に対して不信任決議権を持ち、内閣は議会の解散権を持つ(日本と同じ)
▲イギリスの政治の仕組み図
①大統領制、より厳格な三権分立、地方分権主義(日本と違う)
②大統領は間接選挙(国民は大統領選挙人を選び、大統領選挙人が大統領を選ぶ)によって、国民の投票で選ばれる(日本と違う)
③大統領は国家元首であり、三選が禁止されている(日本と違う)
④大統領は議会に対して責任を負わず、解散権も持たない(日本と違う)
⑤大統領は法案を提出することはできず、立法や予算審議を促す教書しか送ることができない(日本と違う)
⑥大統領は連邦議会で可決された法案に対して拒否権を持つ。ただし、議会で3分の2以上で再可決されれば、法案は強制的に成立する。(日本と違う)
⑦上下両院は平等で、それぞれ違った役割を果たしている(日本と違う)
上院:各州から2名ずつ選出、任期は6年。条約締結の同意権や官吏の任命権では下院より優越
下院:各州の人口に比例して選出、任期2年。予算先議権と官吏弾劾提訴権(不正を行った官僚を訴える権利)を持つ
⑧違憲立法審査権:法律が憲法に適合するかどうかを審査する権利(日本と同じ)
⑨硬性憲法:通常の法律よりも改正に慎重な手続きが要求される憲法(日本と同じ)
▲アメリカの政治の仕組み図
★フランスの政治の特徴
フランスの政治制度は大統領制と議院内閣制を混合した制度である。大統領の権限が非常に強い。
★ドイツの政治の特徴
大統領と首相、両方いるが、大統領はあくまで国家を代表する者(国家統合の象徴)。ほとんどの政治的実権は首相が握っている。
★スイスやベルギー等の多民族国家の政治特徴
スイスの国土面積は中国の台湾とほとんど同じだが、26の州が存在する。一部の州では議会を置かず、直接民主制をとっている。スイスには多くの民族が住んでおり、また外国人の数も22%を占める。それぞれの地域に違う民族がグループとして固まり、アメリカ以上の高度な自治権を持っている。そして、国会議員は各グループから平等に選ばれるため、多数の政党が国会に存在する。
その他の重要な知識
①開発独裁:発展途上国の政府が、国民の民主的な政治参加を抑制しつつ、急速な発展と近代化を目指す独裁体制。福祉や自由の尊重などの政策は後回しにし、工業·資源開発部門に経済資源を優先的に配分し、国力の底上げを図ろうとする(特に東南アジアで多い。フィリピン、インドネシアなど)
②民族自決:ある民族が他の民族や国家の干渉を受けることなく、自らの意志に基づいて、その帰属や政治組織を決定すること。第一次世界大戦後、ヨーロッパに適用され、植民地に対しても独立運動の影響を与えた。(第二次世界大戦後にこの考えが広まった)
③欧州エリート層:ヨーロッパでは貴族文化の歴史が長く、社会のエリート層の流動性は少ない。それに対して、貴族や君主の支配がなかったアメリカでは努力すればだれでも簡単にエリートの仲間入りができる
④イスラム原理主義:イスラム世界の西欧化を否定し,原点に帰ってイスラム法の伝統に基づいて国家を治めようとする運動。イスラム復興主義。代表的な人物や組織:ウサマビンラディン、タリバン等
⑤発達したヨーロッパの直接民主制:ヨーロッパ諸国(特にイタリアやスウェーデン等)の国家規模の直接民主制が発達している。EU加盟等のような重大問題に関しては国民の投票(レファレンダム)や国民発案(イニシアチブ)が認められる
1. バージニア権利章典
第一条:全ての人は生まれながらにして等しく自由で独立しており、一定の先天的な権利を持っている。それらの権利は、人々が社会のある状態に加わった時に、いかなる盟約によっても、人々の子孫に与えないでおいたり、彼らから奪ったりすることはできない。すなわち、財産を獲得して所有し、幸福と安全を追求し獲得する手段と共に生命と自由を享受する権利である。
2. 独立宣言
独立宣言は、基本的人権と革命権に関する前文、国王の暴政と本国議会への苦情に関する28ヶ条の本文、そして独立を宣言する結語の3部から成る。中でも「全ての人間は平等に造られている」と唱え、不可侵·不可譲の自然権として「生命、自由、幸福の追求」の権利を掲げた前文は、アメリカ独立革命の理論的根拠を要約し、後の思想にも大きな影響を与えた。その理論は、名誉革命を理論的に正当化したロックの自然法理論の流れを汲む。
アメリカ式自由主義:①法の支配 ②人権の尊重 ③国民主権
3. フランス人権宣言
第一条:人は権利において自由で平等なものとして生まれ生きる。社会的差別は、共同の利益においてしか、正当化され得ない。
第二条:全ての政治的結合の目的は、人の、生れながらにして侵すことのできない権利を守ることにある。ここで言う権利とは自由、所有、安全、そして暴虐への抵抗の権利のことである。
第三条:全ての主権の根源は本質的に国民に由来する。いかなる団体も個人もはっきりと国民に由来しない権威を行使することはできない。(以下省略)
4. 世界人権宣言
前文:人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので(以下省略)
第一条:すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。
第三条:すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。
第七条:すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。(以下省略)
[链接答案]
1. 名誉革命のごろの著名な政治思想家とその著作の組み合わせとして正しいものを、次の①~④の中から一つ選びなさい。
(「2008年度日本留学試験(第1回)試験問題[EJU]」)
2. 近代における政治の動きの記述として正しいものを、次の①~④の中から一つ選びなさい。
①フランスでは、ナポレオン(Napoleon I)が国民議会を開設し、議院内閣制を樹立した。
②イギリスでは、清教徒革命と名誉革命によって君主の権限が次第に制約された。
③ドイツでは、ビスマルク(Bismarck)が自由放任主義を提唱し、官僚の政治介入を禁止した。
④アメリカでは、最初、選挙で君主を選ぶことが試みられ、それが後に大統領となった。
(「2005年度日本留学試験(第1回)試験問題[EJU]」)
[1]沿岸国が漁業資源や鉱物資源などの権利を持つが、他国船の侵入や通過は認められている。
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